邂逅 4 ページ22
芥川は思う。
そうだ、僕は一般人であるAをマフィアである自身と関わらせては危険だと思ッて。恋を患った身で在りながらAの身を案じて。もう二度と会うことは無い、会っては為らないと覚悟を決めていたのに。
なのに如何してAは武装探偵社なんかに！
之では僕の想いを閉じ込めていた四年間が無駄では無いかと、声を張り上げたかった。
折角マフィアに、黒の世界にAを関わらせては為らないと思って芥川はその身を引いたのにAは自らマフィアと敵対する武装探偵社に入社したのだ。
其れを知ったのはつい最近のことだ。
ヨコハマを影から取り仕切るポートマフィア、そのかなり上に在籍する芥川が最近までAの動向を掴めなかったのは、おそらくは太宰さんがAの存在を僕にバレないように情報操作でも為ていたのだろう。と芥川は踏んでいた。
そしてそれは当たりである。
ポートマフィア時代の太宰は、ある日を境に自身の部下である芥川が何かに心酔し思いを寄せているのを見破っていた。その事を彼は詳細に調べ上げ、Aの存在を知った。
そして数年後探偵社に入社した太宰は、偶然か或いは何らかの因果によるものかAが同社員になったことに驚きつつも、芥川がAの存在に気づく事の無いよう(あったとしても遅れるように)予防線を張っておいたのだった。
実際太宰のおかげで、この数年、芥川は追い求めていたAの動向を掴むことが出来なかった。
それでも、Aの現在を知った直後は、彼女の様子を端から見ているだけでも良いと芥川は思っていた。同僚と一緒に買い物をするA、嬉しそうにケーキを頬張るA。
芥川は四年ぶりのAに心が満たされていた。
今日も社の業務に勤しむAを見て、暗い夜道には変質者に拐われないように見守るだけのつもりだった。
なのに、彼の憎き人虎がAと仲睦まじそうに同じ職場で働いている！！
その上夜まで二人ッきりで！Aの手を煩わせておきながらあの人虎はAの愛らしい声で名前を呼ばれて！其の柔らかな微笑みとともに頭を撫でられて！のうのうと顔を赤らめている！！
四年間焦がれていた。その間で何度もAと触れ合う想像をした。幾度となくAと自分が立場の隔たりを越えて接することが出来ればどれほど良いだろうと思っていた。
其の想像を、憎き人虎がいとも簡単に手にしていることが如何しても許せなかった。
そして其の怒りのままAを攫い、今に至る。
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牧野江(プロフ) - 黄身麻呂さん» コメントありがとうございます。芥川のお話は特に書きたいものだったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。主人公ちゃんに付きまとって勝手にメロメロな芥川、文字列だけでも最高です。書かせていただきます！ありがとうございます。 (2021年1月5日 19時) (
レス) id: c6b47ba73e (このIDを非表示/違反報告)
黄身麻呂 - とてもクオリティが高いこの小説が大好きです！特に主人公を勝手に神格化する芥川が性癖に響いて「邂逅」は何度も読み返してます（笑）リクエストで、もし可能でしたらまた主人公に付き纏ってメロメロな芥川がみたいです！よろしくお願いします！！ (2021年1月3日 0時) (レス) id: 1955a7e5f1 (このIDを非表示/違反報告)
牧野江(プロフ) - 紅月ミレーさん» 遅くなりまして申し訳ありません。自己満のためにこの話を書いているので自分の欲を優先してリクの話は書く事が遅れてしまうかも知れませんがそれでもよろしければリクエストも受け付けようと思います。ありがとうございます。 (2020年11月27日 13時) (レス) id: c6b47ba73e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - すみません、リクは有りですか(´・ω・`)? 太宰治様に笑顔で呼ばれるシーンを何度も見てしまいます(*^□^*) (2020年10月8日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - 牧野江さん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみに待ってます(*^□^*) 今回も面白かったです、皆心配してたんですね(^ω^) (2020年9月16日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牧野江 | 作成日時：2020年8月30日 1時
