社内の日常 2 ページ3
「にーぃ…」
『はい！お待たせしました乱歩さん！』
滑り込むように向かいのソファに座り込んだAに、乱歩は満足そうに笑顔を見せた。
「うんうん！ちゃんと僕が呼んだらすぐに来ること！助手のAは徹底すべきだよ！」
『えっ、私、乱歩さんの助手なんですか…？乱歩さん、以前に自分に助手は必要ないって言ってませんでしたか？』
初耳だとばかりにAは首をかしげる。
そんなAにさも当然と言うように乱歩は続ける。
「うん必要ないね。だけど僕、電車乗れないし。1人でネクタイ締められないし。だからAがいてくれなきゃ。うん、助手じゃないなこれ！あれだ、メイドってヤツ！」
『メイド…』
乱歩の自由な言葉に翻弄され、律儀にメイドに対して考え込むA。
先ほどから自身の言葉に一挙一動を簡単に左右されているAを見て、乱歩はひどく満足げである。
「Aちゃんのメイド姿、とぉっても可愛いだろうねぇ！そうだ、折角だから“御主人様♡”って言ってみてくれ給え！」
そう言って、Aの左隣に、少々密着するように座ったのは先ほど国木田の頭を悩ませていたもう1人の原因、太宰だ。手に抱えた銀色のトレイにはちゃっかり3人分のケーキと紅茶、それにフォーク等が乗っている。
「ちょっと、太宰。僕とAのおやつの時間を邪魔しないでよ」
不満そうに頬を膨らませる乱歩に、太宰はにこりと微笑んで言った。
「おやつの時間と言ッてますが、テーブルには何にも置かれてないじゃないですか。このケーキと紅茶でご一緒させてください」
「…、わかったよ。ケーキと紅茶に免じて許す。でも次は無いからな！」
机に置かれたトレイから勢い任せにケーキとフォークを奪い取った乱歩を見て、彼がどうして不機嫌になってしまったのか理解できていないA。おろおろと太宰と乱歩を見比べつつ、トレイにのったままの乱歩の分の紅茶を彼の目の前に置いている。その謙虚さといじらしさに、あぁ何て無知で清らかな子なんだろう！と太宰は1人胸が熱くなった。
そっと、後ろからAの腰に右手を沿わせる。
突然のことにAは驚いたように太宰を見た。
『あ、あの…、太宰さん…？』
「ん、何かな？Aちゃんもこのケーキ、きっと気に入ると思うけど」
『いえ…、あの、腰…』
男性慣れしてないのであろう初々しい反応に、太宰は少し意地悪をしてやりたい衝動に駆られた。
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牧野江(プロフ) - 黄身麻呂さん» コメントありがとうございます。芥川のお話は特に書きたいものだったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。主人公ちゃんに付きまとって勝手にメロメロな芥川、文字列だけでも最高です。書かせていただきます！ありがとうございます。 (2021年1月5日 19時) (
レス) id: c6b47ba73e (このIDを非表示/違反報告)
黄身麻呂 - とてもクオリティが高いこの小説が大好きです！特に主人公を勝手に神格化する芥川が性癖に響いて「邂逅」は何度も読み返してます（笑）リクエストで、もし可能でしたらまた主人公に付き纏ってメロメロな芥川がみたいです！よろしくお願いします！！ (2021年1月3日 0時) (レス) id: 1955a7e5f1 (このIDを非表示/違反報告)
牧野江(プロフ) - 紅月ミレーさん» 遅くなりまして申し訳ありません。自己満のためにこの話を書いているので自分の欲を優先してリクの話は書く事が遅れてしまうかも知れませんがそれでもよろしければリクエストも受け付けようと思います。ありがとうございます。 (2020年11月27日 13時) (レス) id: c6b47ba73e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - すみません、リクは有りですか(´・ω・`)? 太宰治様に笑顔で呼ばれるシーンを何度も見てしまいます(*^□^*) (2020年10月8日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - 牧野江さん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみに待ってます(*^□^*) 今回も面白かったです、皆心配してたんですね(^ω^) (2020年9月16日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牧野江 | 作成日時：2020年8月30日 1時
