買い物に行こう 6 ページ12
「ヒュッ」
携帯電話を開いた谷崎が突如として変な声をあげた。
谷崎はディスプレイに映ったナオミの無垢な処刑宣言から、横で『ナオミちゃん達どこ行ったんだろ…』と辺りを見回すAにゆっくりと視線をずらす。
これからAさんと二人ッきり!?いやいやいや本当に無理だッて!!!
頭の中のナオミに訴えると、「こうでもしないと兄様はいつまで経っても二の足を踏むだけですわ!」と正論で説き伏せられる。ナオミなら絶対そう言う。
…よし、うだうだ悩んでいてもしょうが無い。
折角ナオミ(と与謝野先生)がくれたチャンスだ。絶対モノにしてみせる!!
谷崎はパッと携帯電話から顔を上げ、Aに向き合った。
「Aさん。ナオミと与謝野先生なンですが2人とも急用が出来たみたいで…」
視線をさまよわせながらそう言う谷崎に、Aは何の疑いも向けずに『そっか〜、それはしょうが無いね』と眉を下げながら笑った。
その表情に谷崎は良心が酷く痛み、「すいません、ボクなんかと二人きりで…」と零した。
するとAもハッとした表情で声を上げる。
『や、違うの!谷崎くんと2人が嫌ッて訳じゃ無いんだよ!…、うん、そうだね。今回は幸運で谷崎くんと2人になれたって考えよう!ふふ、私、谷崎くんと二人ッきりで話してみたかッたんだ。』
へへ、とどこか照れたようにそう言うAに谷崎の心臓は異常なほど高鳴る。
これは駄目だ。矢ッ張り心臓が持たないかもしれない。
「ボクと二人ッきりで…?」
『そうそう!谷崎くん、いつも私を避けてるのかな〜って思ってたから。…あッ、そんなこと無かったら全然良いンだけど!やだな、自意識過剰なのかも…』
全然自意識過剰じゃ無いです!!ボクAさんのこと避けてましたすいません!!!と谷崎は心の中で絶叫する。だって、好きな人と話すッて信じられないくらい緊張する。実際今でも。その緊張のまま接してAさんに変な風に思われたら、想像するだけで胃が痛くなる。
「すいません…、でもこれからは自然に接しますね」
『えっ、やっぱり避けられてたの!?え、なんで!?私に相談しづらかった!?怒ると怖そうだった!?』
「アッ、いや違うんです!決してAさんが嫌いだからッて訳じゃ…!」
『じゃぁ何で…?』
(墓穴掘った…!!!)
あわあわと慌て出すAと、そんな彼女の様子を見てそれ以上に慌て出す谷崎。
2人はショッピングモールの通路のド真ん中で観衆の視線を集めていた。
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牧野江(プロフ) - 黄身麻呂さん» コメントありがとうございます。芥川のお話は特に書きたいものだったのでそう言っていただけるととても嬉しいです。主人公ちゃんに付きまとって勝手にメロメロな芥川、文字列だけでも最高です。書かせていただきます!ありがとうございます。 (2021年1月5日 19時) (レス) id: c6b47ba73e (このIDを非表示/違反報告)
黄身麻呂 - とてもクオリティが高いこの小説が大好きです!特に主人公を勝手に神格化する芥川が性癖に響いて「邂逅」は何度も読み返してます(笑)リクエストで、もし可能でしたらまた主人公に付き纏ってメロメロな芥川がみたいです!よろしくお願いします!! (2021年1月3日 0時) (レス) id: 1955a7e5f1 (このIDを非表示/違反報告)
牧野江(プロフ) - 紅月ミレーさん» 遅くなりまして申し訳ありません。自己満のためにこの話を書いているので自分の欲を優先してリクの話は書く事が遅れてしまうかも知れませんがそれでもよろしければリクエストも受け付けようと思います。ありがとうございます。 (2020年11月27日 13時) (レス) id: c6b47ba73e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - すみません、リクは有りですか(´・ω・`)? 太宰治様に笑顔で呼ばれるシーンを何度も見てしまいます(*^□^*) (2020年10月8日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - 牧野江さん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみに待ってます(*^□^*) 今回も面白かったです、皆心配してたんですね(^ω^) (2020年9月16日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牧野江 | 作成日時:2020年8月30日 1時