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「……本当に？」
「……保証はないけどね。本当なら見たいし、そうでなくても満月は魅力溢れるものだからね」
私はそっと御簾をあげた。扇でさっと顔を隠す。
「赤い月はいつ見れますの？」
彼は言った。
「もうすぐさ……ほら、見て！」
「！?……赤いわ。……神のいたずらなのかしら」
はは、と彼は笑う。
「面白い事を言うじゃないか。それでは、僕たちが出会えたのも神のいたずらなのかな？」
「あなた、分かっていますの？私は帝の妃になるの。あなたをかまっている余裕なんてないのよ」
分かっているさ、と言って彼はこちらに向き直る。
「君が僕を想ってくださるなら、なんとかして一緒になりたい。ここまで魅力的な方はそうそういらっしゃいません故」
「なんとかってどうするつもりなのです？あなた、まさか……帝に何か」
彼はこちらを真剣な目で見てきた。
「法に外れたことはいたしません。決して。内大臣のお姫様……」
素性がばれている事に一瞬驚いたが、よく考えれば、家がばれている時点で丸分かりだ。
「いえ、雅さん」
そうか。名前までばれていたか。覆い隠すように生きてきたのに。
「あ、あなたは？名前なんていうのよ。人のこと勝手に調べたんだから、あなたには名乗る義務があるわ」
「弱ったな……今はまだ名乗れない」
かああっと顔が熱くなる。ふざけないで。
「どういうおつもり！？本気じゃないからそんなことが言えるのですわ。名を呼べぬような殿方に恋をするつもりなどありません」
「すまない……名は、好きなように呼べ」
私は部屋の奥にさっと戻る。
「姫！？すまない。戻ってきて……」
うるさくなさるなら人を呼びます、と言って紙をとってくると、色々と書き付けた。
「想ふこと おぼつかなしと 思ふ故 朧と呼ばむ 満月の君」
私は紙をおしつけ、寝所に戻った。
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清原諾子 - はじめまして、清原諾子です。歴史の中でも平安時代が一番好きで、この作品がすぐに好きになりました。これからも頑張ってください。 (2018年7月9日 7時) (
レス) id: c298dbb326 (このIDを非表示/違反報告)
藍城彩(プロフ) - はじめまして。藍城彩です。私は、平安の話は苦手なのですが、この話は引き込まれていきます。これからも、頑張ってください。 (2018年7月8日 17時) (レス) id: ecf7c6d4da (このIDを非表示/違反報告)
アサノ(プロフ) - はじめまして、アサノと申します。凄く魅力的な作品で思わず、引き込まれました。これからも頑張って下さい。 (2018年4月16日 0時) (レス) id: 2c5d1feb72 (このIDを非表示/違反報告)
作者より - いろいろありがとうございます。顔を見られたのは雅ちゃんの不注意、顔を見られても動揺しなかったのは、「帝の妃に」という教育方針のせいかな？なんて。すみません。頑張ります、 (2018年4月15日 21時) (レス) id: 8d3c83900b (このIDを非表示/違反報告)
ぺったんこ＠受験終るまで更新できません(プロフ) - (追記)現在のように、男性が不法侵入してただ体を強張らせるだけではなく、もっとドン引きさせても良いのかなぁ、と。。長々とｽﾐﾏｾﾝ・・・ (2018年4月15日 21時) (携帯から) (レス) id: 46235445be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ΨΨ | 作成日時：2017年10月4日 18時
