＊１７−２＊ ページ3
翌日、わたしは結局もう帰国の途についていた。
飛行機のなか、もらったノートを開く。
ありえないと思った。
一晩眠れず考えたけど、どうしても理解できなかった。
日本に住んでいるとき、良く日本の2時間ドラマを見た。
そのドラマで主演をはってた女優。
住職と交わした言葉が思い出される。
「”柊涼香”って、未婚ですよね？」
「すまない、わたしにもわからんのだ。偶然にもそのひとが子どもを生んだ事と写真が手に入って…ホクロをみて、もしやと思った次第で…」
住職はそういって引出しから一枚の名刺を出した。
「京都の老舗旅館の支配人で、柊涼香さんが贔屓にしているそうだ。この先も調べる気があるならば、そのひとに頼るといい」
そういって送り出してくれた住職。
もう会えないかもしれないと、最後にくれたのは奥様の形見のかんざしだった。
「あいつが、Aさんに渡したがっていた。渡せてよかった。思い残す事が、これでなくなったよ」
「わたし、愛する人が出来たんです。彼の為に、自分がなんなのか知りたかった。」
「そうか…」
「ありがとうございます、お元気で…また、会いにくるから…生きていて…」
涙でぐしゃぐしゃのまま、頭を下げた。
タクシーが止まり乗り込んでも涙が止まること無かった。
思考の海の私を現実に引き戻したのは、声をかけてきた中国人らしき二人組みだった。
はっと気付いてノートを閉じ、笑顔を作る。
ファンだというその二人にこっそりサインをした。
喜びを爆発させるその二人。
周りの視線を感じてサングラスをかける。
そうだ、わたし一応中国では有名な方だった…無意識って怖いな。
「間もなく当機は・・・・」
アナウンスが入ってシートベルトを締める。
写真だけはどうしても持ち歩きたくって、スマホケースのカードの側にカラーコピーしたものを忍ばせた。
バッグの中にその大事なノートをしっかりしまって。
わたしはシートに身を預ける。
マンションに戻ってもなんだか落ち着けなくて。
一人で居るのがイヤだった。
だからわたしは滅多に行かないCLUBにいくことにした。
誰か知り合いに会えれば、気がまぎれる。
知らない男でも、踊って、飲んで、泥のように眠ればいいと思ったから。
「わたしが怖い…のは、一人ぼっちになることなのかもね。」
Clubに向かうタクシーの中ポツリと呟く。
だけどわたしはまだ知らない。
わたしのすぐ側に、またあの広大な海のような男が近づいている事を。
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しお(プロフ) - ねっこべくひょんさん» わあ！ありがとうございます！嬉しいです♪初めてのヒチョル様作品になりますので、楽しいと言っていただけて感激です。毎日コンスタントに更新できるように頑張ります♪ (2014年5月11日 9時) (
レス) id: f8fa8d899f (このIDを非表示/違反報告)
ねっこべくひょん(プロフ) - 昨日見つけたのですが、このような大人っぽいどろどろしたストーリーが初めてで、楽しく読んでいます！更新がんばってくださいね(*^_^*)待ってます！ (2014年5月11日 8時) (レス) id: ed49e8abb2 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - naeponさん» ありがとう♪しかし、昼頃見つけてしまったんだ。ヒチョル様のｳｷﾞｮﾙキス写真に、死亡。 (2014年4月25日 12時) (レス) id: f8fa8d899f (このIDを非表示/違反報告)
naepon(プロフ) - しおちゃん♪の書く小説だいすきだよぉ(^3^)/ (2014年4月25日 9時) (レス) id: 611870be34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：汐
| 作成日時：2014年4月25日 8時
