＊１５−３＊2010年ある日 ページ42
「A？！見える？！わかる？」
心配そうに顔を覗き込んだのは、当時から苦楽を共にしたマネージャーで。
わたしは瞬時にここがどこであるのか察知した。
自分の身体のことより、心配したのは只一つで。
マネが首を横に振って、わたしの手を握ったから。
それで全てを理解した。
「アッパやオンマには事故の事以外言わないで、ヒチョルにはこのこと…」
「黙ってる！口が裂けても言わないから！安心して！」
幸いにも小さな傷だけでどこも損傷はなく。
わたしはすぐに退院した。
だけどその代償と言ってはいけないが、わたしの中にしがみついていた小さな命は、天に召された。
わたしの代わりに天国に行ったのだと、マネが言った。
わたしが眠っている間に、処置は行われたといわれた。
処置…。名前も無い赤ちゃん。
お墓にすら入れない、小さい命。
涙の止まらない夜が続いて。
その頃からだと思う、ヒチョルとの間に言い合いが耐えなくなって。
わたしのシリメツに拍車がかかって。
ヒチョルがそんなわたしから、離れるようになっていったのは。
言わなかったのは自分なのに、ヒチョルがわたしを求めると。
心も身体も拒否してしまう。
それがヒチョルの不信感を煽り、自分のシリメツに拍車をかけ。
最後は別れに繋がった
ヒチョルを失ったと実感して泣いたのは一晩だけで。
あの時多くを望んでヒチョルという深海に入ろうとした自分を責めた。
乾いたわたしを満たしていたヒチョルという海が無くなり。
わたしは仕事に没頭する事で、忘れられると思っていた。
台湾に行く前日。
身の回りを整理しておこうと思い立って、引き出しを開ける。
滅多にあけないベッドサイドの引き出し。
気まぐれに避妊具を使うヒチョルがたまにあける引き出し。
その引き出しの中に、小さなブルーの包みを見つける。
中身は…何処かの鍵だった。
きっとわたしへのソンムルだったんだとおもう。
それを渡すことなく、別れてしまったんだと思った。
いつか自分自身、ヒチョルと向き合えるようになったとき。
その鍵を返そう。
きっと大事なものなのだから…。
そう思って、その引き出しの一番奥に追いやった。
すぐにそれを返したくなかったのは、何か一つでもヒチョルと繋がってると思いたい自分がいたから。
往生際が悪いにも程がある。
だけどその気持ちを無碍にしたくなかった。
次にその鍵を見つけるのは、もっと時が過ぎてからなんだけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 460人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しお(プロフ) - まみさん» えーと、希とついてる方が連載中です。ついてないのは連載前の試験公開の作品ですので、中身は公開まで内緒ですー！すみません！ (2014年7月13日 14時) (
レス) id: f8fa8d899f (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - あゆあ☆１さん» こんにちは、パスのついてない方が連載中です。パスの方は先行公開のほうなので、もう追い付きますよー！お読みいただけるのはタイトルに希←がついてるものだけになります。ごめんなさい！ (2014年7月13日 14時) (レス) id: f8fa8d899f (このIDを非表示/違反報告)
あゆあ☆１(プロフ) - 汐 さんはじめましてです＾−＾小説をよませてもらってます＾−＾いつも楽しみに読ませてもらってます＾−＾ぜひ続きを読みたいのでパスワード教えてください＞＜よろしくお願いします＾−＾ペコリ (2014年7月13日 13時) (レス) id: 58d6f964b4 (このIDを非表示/違反報告)
まみ(プロフ) - こんにちは！この小説大好きなんですが、途中からパスワードがかかってて読めません(￣▼￣；)よろしければ教えてもらえませんか？続きが気になって気になって(笑▽笑) (2014年6月29日 10時) (レス) id: e10cbe5985 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - naeponさん» あわわわ！今気づきました。えっと、メッセージ送っておきます！ (2014年4月17日 8時) (レス) id: c026f6b756 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：汐
| 作成日時：2014年4月7日 8時
