こんなヒロインは嫌だ。【オリジナル】

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｢桜庭、お前、細すぎるからもう少し健康的になった方がいいよ。そのままだとなんか……骸骨みたい｣




｢えっ……？｣




隣の席の男子(私の隣は当然のごとく争奪戦が起こったので、公平にくじ引き。)が授業中、こっそりと言ってきた何気ない一言。



家に帰っても、私の心に残っていた。



少し前から言われていたんだ、勇気ある何人かの人たちから。



｢ちょっと痩せすぎじゃ｣


｢不健康に見える｣




私の美を追求する人たちは、そんなことない、今のAが一番美しい。って言ってたけど。



ちょっと気になったから、BMIっていうのを計算してみた。



｢えっと、体重÷身長の二乗？……うわぁ。｣



私のBMIは14.2。平均で22っていうらしいから、相当痩せているんだろう。



｢低体重の人は、体調を崩しやすくなったり、成長期の人は成長が止まる危険性があります……だって｣



よくわからないけど……この間拒食症のニュースとかやってて、ちょっと怖かったし。



健康にいられる方が、美しさよりよっぽど大切。変わろう。




そう宣言した次の週から、学校は長めの休みに入った。タイミングは今しかない。



決意を固めて、健康的な体を手にいれるために、私はトレーニングを始めた。



ほとんど食べていなかった朝食も、栄養をきちんととってしっかり食べ。



筋肉をつけるために運動をした。全然できなかった腹筋、途中からは連続でたくさんできるようになったし。ランニングもスピードが上がった。





外に出るようになって白かった肌は小麦色に焼け、筋肉がついて見た目としては少し太って見える。洗うのが面倒だった長い髪はショートカットにした。



休みが終わった頃、私はなりたかった自分になれたのだ。元から綺麗でいることに努力を重ねていた私でも、変わるのには相当な苦労があった。



階段を上がっても息は切れないし、髪がばさばさと顔にかかることもない。街を歩いても地中から見知らぬものが生えてくることもないし、これだけ焼けたら日焼け止めを塗る時間を無駄に費やすこともない。




ああ、最高！！





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