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「と、いうわけでテストで彼女に勝つ方法を探してます、教えてください」
「いやどういうわけだ、全然説明になってねえよ」
おれの向かいでため息をついたのは担任の塾講師。粗雑な口調だが教え方はうまく、こうして時々相談もしている。
「とりあえず武田は彼女に勝ちたい、勝つために彼女のことをもっと知りたい、ってことだよな？」
「そこまでは言ってません！ いやまあ、敵のことを知って損はないかもしれないけどそこまで邪な言い方はしてなくて」
「珍しく慌ててるなあ」と揶揄されるが、おれは一切慌てていない。むしろ短絡な思考に走ってしまう先生の方が慌てているのでは。言うと怒られそうだから言わない。
「まあ、お前の学力ならクラスもすぐに上がる、彼女と同じクラスになれば会話する機会もあるだろうよ、なんとか話をつけるくらいはしてやらんこともない。」
会話すればあいつの学力の正体もわかるだろうよ、と手を振り教室から出ていく先生。目の前から大柄な体躯が消え開けた視界と、ただ思考に走るだけのおれの心はよく似ていた。
勢いよくドアを開けて教室から出たら、廊下を歩いていた“誰か”とぶつかってしまった。
さほど背の高くないおれと同じ高さで目線が合わさる。その拍子にぶんっ、と揺れる束になった髪。夏だからというのを差し置いても肌色の多い服。
「あっ」
「げっ……」
噂の渦中の“彼女”だった。
「ちょっと、“げっ”てなにさ」
変わらない目線で、背筋を精一杯伸ばして見下してくる。
「そっちの不注意でぶつかってきて、ジブンの顔見て嫌そうな顔してんの？ いい度胸じゃんか」
「わ、悪かったって」
「悪かったあ？ そんな言い方でいいん？ 謝る時になんて言うか、小学校で習わなかったわけ？」
「は？」
「は？ じゃないわ、はい、謝る時になんて言うん？」
「ごめん、なさい……？」
「よろしいっ、さっさとジブンの前から去れば？ 陰気な秀才クン」
とは言いつつ、自分の方からさっさと玄関の方に去っていった彼女。残されたおれはといえば。
「……はあああ！？」
なんだあの腹の立つ生き物は。あんないかにも脳筋みたいな、小学生みたいな。おれに堂々と意見してくる、生意気な生き物は。
「おー、強烈だろ」と笑いながらさっきの先生がおれの方を見た。
家に帰っても、目の前で揺れる尻尾のような髪の毛と、独特のイントネーションをはらんだ通る声が忘れられなかった。
間違いなくこの作品内で最高にキャラの濃い女の子です笑
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ユウピィ(プロフ) - 面白かったです。あとコメントをチャットのように使うの禁止なんですね。わたしの作品にコメント付く前に知れて良かったです。 (11月7日 0時) (
レス) id: c1f9464c72 (このIDを非表示/違反報告)
河原美羽奈(プロフ) - 魔女さん» ありがとうございます……！そのようなことを言われたのが初めてなので正直驚いています。他にもいい作品、たくさんあるはずです。占ツクは侮れないです。ぜひ探していただければ、と思います。 (2019年1月7日 8時) (レス) id: 1e0898c908 (このIDを非表示/違反報告)
河原美羽奈(プロフ) - 飴玉さん» 何かがきっかけで、飴玉さんが変われていたのなら自分も嬉しいです。コメントありがとうございます。 (2019年1月7日 8時) (レス) id: 1e0898c908 (このIDを非表示/違反報告)
魔女 - 最高傑作です！これ程にも作り込まれた小説をこのサイトで見たのは初めてです。 (2019年1月7日 0時) (レス) id: 0ba778a579 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉 - 筑紫ちゃんが、、、、完全私だ；ﾟДﾟ) (2018年10月8日 17時) (レス) id: aea70470cb (このIDを非表示/違反報告)
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