. ページ21
.
受験も終わり(周囲のみんなも勉強で私をいびっているどころじゃなかった)高校生になった私にとって、新しくクラスが決まるこの時期はすっごく憂鬱だ。
普通に勉強していればついていけそうな、遠めの私立に進学先を決めた。
中学校からは私以外誰もここに来ていないから、高校デビューと称して髪の毛を茶色く染めたり、思いきったメイクにしてみたりしてもよかったんだけど、自分の黒髪が結構好きだし、キャラと見た目が合ってないちぐはぐさはこれ以上ごめんだ。何よりギャルっぽい人はただでさえ目立つ。
そんなわけでスカートを気持ち折って髪の毛は緩くまとめ、薄い色のリップといかにも目立たなそうな眼鏡(もちろん伊達)をかけて初登校っていうことになった。
その甲斐あってか、かろうじて暗めのキャラに見られて、初日はほとんど話しかけられなかった。
と、思ったのに。
｢ねえ、時間ある？お茶していこうよ｣
移動距離が長いのが仇になって、全く知らない大学生くらいの男に声をかけられた。茶髪、ピアス、スタッズ付の服。いかにもな感じ。
｢これから塾なので。すみません｣
適当な言い訳して立ち去ろうとしたけど、相手もなかなかしぶとい。変に見た目に自信があるからかな。この先の展開まで妄想してるのが顔で判る。本当に気持ち悪い。
｢ね、お茶は奢るし、絶対変なことしないから。ちょーっとお話するだけ。いいでしょ？｣
｢困ります。ほんとにやめてください｣
ああ、めんどくさい。だから。こういう人たちは。
｢おい、その子嫌がってるだろ。女子に無理矢理なんて、男らしくないんじゃね？｣
凛としているけど可憐な澄んだ声に止められ、二人揃って振り向く。
私より頭半分ほど小さい背に、切り立てみたいな青々しい髪。むぅ、と結ばれた唇は幼さが残っているけど、格好はとても大人っぽい。私に負けず劣らず、ちぐはぐな感じがする。
｢やめろよ、ナンパへたくそだな、お前！｣
今度は、回りにはっきりと響くような声で。ひそひそと笑う聴衆に耐えられなくなったのか、男はどこかに走り去っていった。
｢よかった。怪我はないよな？｣
｢ありがとう。鬱陶しかったから、助かりました｣
恩人のような人と、面と向かい合う。やっぱり背は低い。それに……
気づいた。
この人、
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユウピィ(プロフ) - 面白かったです。あとコメントをチャットのように使うの禁止なんですね。わたしの作品にコメント付く前に知れて良かったです。 (11月7日 0時) (
レス) id: c1f9464c72 (このIDを非表示/違反報告)
河原美羽奈(プロフ) - 魔女さん» ありがとうございます……！そのようなことを言われたのが初めてなので正直驚いています。他にもいい作品、たくさんあるはずです。占ツクは侮れないです。ぜひ探していただければ、と思います。 (2019年1月7日 8時) (レス) id: 1e0898c908 (このIDを非表示/違反報告)
河原美羽奈(プロフ) - 飴玉さん» 何かがきっかけで、飴玉さんが変われていたのなら自分も嬉しいです。コメントありがとうございます。 (2019年1月7日 8時) (レス) id: 1e0898c908 (このIDを非表示/違反報告)
魔女 - 最高傑作です！これ程にも作り込まれた小説をこのサイトで見たのは初めてです。 (2019年1月7日 0時) (レス) id: 0ba778a579 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉 - 筑紫ちゃんが、、、、完全私だ；ﾟДﾟ) (2018年10月8日 17時) (レス) id: aea70470cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
