最年長のハリネズミ (ページ14)

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俺の隣(黄色) ページ14

「全部好きなんだよ」

ライブ中に思わず本音を言ってしまった。普通に流してくれるかと思ってたのに、まさかのガチ照れをする樹。
珍しく可愛らしい樹の姿に、俺の笑顔は止まらなかった。

俺と樹は似たようなノリで、地元友達とお互い言い合えるくらいずっと仲良くしている。
よく、一番はジェシーと言われるが、俺にとってジェシーは可愛くて我儘な大型犬。関係性も飼い犬と飼い犬に振り回される飼い主だと思ってる。なんとなく、対等な関係性では樹が一番かなと思ってるわけ。

でも、最近ジェシー１番だったのが変わり始めた。最近での雑誌での立ち位置では樹の隣がかなり増えてきた。手を繋いだり、腕や肩を組んだりしてボディタッチが多い。
思わず「樹と隣合うこと多いね」なんて樹のこと意識する発言しちゃったよ。流石、爆モテじゅったんw

2ndシングルの宣伝で周る各バラエティ番組では樹と２人でなんてのも案外あったりするし、歌や配信の並び位置が隣合うことも多いから、必然的に会話も多くなる。最近ではジェシーより樹の方が多いんじゃね？樹の色んな顔がよく思い浮かぶようになってきて気がする。

そんなことを考えてたら、樹の死んだような表情があった出来事を思い出した。
そう、あれはCD特典映像の時だった。

皆のいじられ役になる俺は、原石の最年長というプライドから、メンバーに仕事の相談を出来ずにいた。そんな俺にとって貴重な相談相手が雪男の阿部ちゃん。
大好きな焼き鳥を食べながら、仕事の相談をするんだという何気ない話のつもりだったが、何故かメンバーから流れる空気が重い。

ん？そんな変なこと言ったか？

でも、空気の重さに耐えられず色々言うが空回り。その時ばかりは、頼みの樹も何も言わずで大変だった。

あの時の樹の表情はもう見たくないし、俺のせいであんな表情させたくないとすげー反省したよ。出来るだけ、樹の笑顔を隣で見てるのは俺でいたいから。

俺、隣は樹にいて欲しいから。