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A視点
私が死んだ、10年前の雨の日。
コネシマくんは授業中に居眠りをしていて、その様子をついじっと見つめていた。
寝顔だといつもより幼く見えたり、金色の髪に寝癖をつけているコネシマくんも良いなと思ってしまう。
コネシマくんの事が好きなんだなと、改めて再認識をすると胸がきゅっと締め付けられる。
授業をしている猿山先生は、夢の世界に旅立っているコネシマくんに気付くなり激怒していた。
猿山先生の授業が終わると、コネシマくんはタイミングを見計らったように飛び起きて私に話し掛けて来た。
kn「なぁ、A。授業のノート見せてくれん?」
「コネシマくん、さっきの授業中寝てたでしょ」
kn「なんや、寝てたの見とったんかいな」
コネシマくんは照れ臭そうに、頬を掻いた。
「猿山先生、めちゃくちゃ怒ってたよ」
私がそう言うとコネシマくんは、「らだお先生が?まぁ、大丈夫やろ。うん」と開き直っていた。
そんなコネシマくんに、私はさっきの授業の板書をしていたノートを差し出した。
「はい、コネシマくん。これで貸し1つね!」
kn「すまんな、いつも助かるわ!」
コネシマくんとのこんな何気ないやり取りは、もう二度と訪れる事は無かった。
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