episode 003 ページ3
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癌というワードに
思わず
言葉が詰まった。
A ｢そんな怖い
JH ｢… … いや、だって …｣
A ｢別に今すぐ死ぬわけではないし｣
JH ｢… … …｣
A ｢遅かれ早かれ、人はいつか死ぬでしょ ?｣
JH ｢… … … そうだけど｣
A ｢私は少し早く死ぬってだけ｣
そんな事を
言いながら、
彼女は
屈託なく笑う。
A ｢タイムリミットがあると、時間を大切にって思えたし｣
JH ｢… … …｣
A ｢後悔しないように生きていきたいの｣
JH ｢… … うん｣
A ｢だからね、ジョンハンにも手伝ってほしいの｣
JH ｢… うん ?｣
A ｢私が幸せに生きれたって、誰かの記憶に残したいの｣
真っ白な病院で
出逢った
同じ誕生日の
天使のような彼女の言葉は、
柔らかくも
とても残酷だった。
JH ｢… 俺にできる事なんて、きっとないよ ?｣
A ｢傍にいてくれるだけでいいの｣
JH ｢傍にいるだけ ?｣
A ｢うん。話したり散歩したり、遊んだり。普通の事をしたい｣
JH ｢… … …｣
A ｢同い年の人達が、あたりまえに過ごしてる事を知りたいの｣
微笑みながら
そう言う彼女だったけど
その時、
ほんの少しだけ
瞳に
寂しい色が落とされる。
JH ｢… じゃあ、俺ら友達だな｣
A ｢友達 ?｣
JH ｢うん、もう決まり。今から、俺らは友達ね｣
そんな瞳の色を
見るのが嫌で。
Aを
可哀想だとは
思いたくなくて。
今度は
俺が笑って、
そう言った。
A ｢…
俺が
差し出した手を
握り返してくれた
彼女の手は、
小さくて細くて
柔らかかった。
.
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作者名：しろくま
| 作成日時：2022年7月5日 5時
