episode 015 ページ15
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看護師さん達の
目を盗んで
病棟を抜け出して、
ふたりで
手を繋いで
屋上へと辿り着いた。
JH ｢A、こうやって抜け出すの初めてじゃないでしょ ?｣
A ｢どうして ?｣
JH ｢めちゃくちゃスムーズに屋上に着いたから｣
A ｢んははっ ! でもスリルがあって楽しいでしょ、これ (笑)｣
時刻は
日付を越えようとしている
夜の中で、
空は暗くて
星も幾つか浮かんでいた。
JH ｢… … 流れ星、見つかるかな｣
A ｢探そう｣
ふたりで
肩を並べて、
座り込む。
触れ合った肩からは、
Aの体温が
伝わってきて
安心する。
ちゃんと
Aは今、
俺の隣にいるって
実感ができる。
JH ｢… … 流れ星を見つけたら｣
A ｢… うん｣
JH ｢Aは、なにを願うの ?｣
その問いかけに
彼女は
目を合わせず、
夜空を見上げたままで。
A ｢… … 秘密｣
ただ
そう言って、
小さく笑う。
JH ｢… … いいじゃん、教えてくれたって｣
A ｢いやだ｣
JH ｢なんで ?｣
A ｢願い事を、人に話しちゃうとね｣
JH ｢… … うん｣
A ｢その願い事は叶わなくなっちゃうんだって｣
JH ｢… … …｣
A ｢… 私、叶えたい願いが今ひとつあるの｣
JH ｢… どうしても ?｣
A ｢… うん。どうしても、叶えたいの｣
その願いを叶えるのに
俺に
できる事があるのかを
知りたいのに。
願い事を
他人に
知られたらいけないなんて、
なんて
厄介で
儚いんだろう。
.
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作者名：しろくま
| 作成日時：2022年7月5日 5時
