episode 012 ページ12
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ひとりになった
病室で
ただ
自分の無力さを感じていた。
なにもしてあげられない。
そう
痛感していた。
医者でも
神様でもない俺には
Aを
救ってあげる事なんか
できないくせに。
ただの
友達でしかいられないくせに。
俺の隣で笑っている
あの
時間でさえも、
癌は
彼女を蝕んでいってる。
JH 「… … … こんな時に …」
枕に顔を埋めて
考え込んでいた時に、
携帯が震えて
電話がきているのを
知らせていた。
その画面には、
ジョシュアの名前。
JH 「… … … …
JS 「あ、ジョンハナ。元気 ? 大丈夫 ?」
JH 「… … … 別に」
JS 「なんで毎回そんなに不機嫌なわけ (笑) ?」
電話越しに聞こえる
シュアの笑い声に
溜め息をつく。
JS 「マネヒョンから聞いたよ。体調だいぶ良くなったってね」
JH 「… まあね」
JS 「点滴も終わったんだって ?」
JH 「… … ん」
JS 「… … … Aちゃんは、元気 ?」
今、1番
触れてほしくなかった事。
特に
ジョシュアには。
JH 「… … … … 分かんない」
JS 「え ?」
JH 「… … 俺には、Aは元気に見えるんだ」
それだけの
俺の言葉で
ジョシュアは
きっと悟った。
JH 「… … … なにもしてあげられないんだ」
JS 「… … …」
JH 「… … Aには、もう」
JS 「… … …」
JH 「もう時間が少ないって、最初から分かってたのに」
JS 「… … うん」
JH 「… … それなのに、俺はただ隣にいるだけで」
あの笑顔の裏にいる
彼女を蝕んでいく
病魔を、
俺には
どうしてあげる事もできなくて。
JS 「… … それで、いいんじゃないかな」
JH 「… え ?」
JS 「ただ隣にいるだけでも、それでもいいんじゃないかな」
JH 「… … …」
JS 「… 少なくとも僕には、嬉しそうに見えたよ」
JH 「… なにが ?」
JS 「ジョンハンと一緒にいる時のAちゃんの笑顔」
ジョシュアが
小さく笑ったのが
また
電話越しに伝わった。
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作者名:しろくま | 作成日時:2022年7月5日 5時