【REBORN】最弱幹部は息を潜める 2nd Bullet (ページ9)

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目的33:試練ページ9

「……っは……はは……」

開始数分。
自分がぼろぼろなのに思わず笑ってしまう。
無理もないと思う。強すぎでしょあの人。
10年前の時点であった差がさらに広がっている。
攻撃の速さも重さも増した上に匣やリングの扱いもこちらより慣れているときた。

「笑う余裕あるんだね」

攻撃の激しさが増す。嘘でしょまだ上あるのかよ。
別に本気とは思ってないけどさぁ！

「クロ！」

私と恭弥君の間にクロの群れが割って入る。
それに紛れて距離を取る。

落ち着け、勝とうとしなくていい。
見ろ、彼の一挙手一投足を
真似しなくていい、自分のものにして飲み込め。
他の師たちと同じように。

再び距離を詰め打ち合う。
そもそも剣1本でトンファー1対と渡り合うのは無理あると思うんだよなぁ。
雲属性は増殖って聞いたけどもう1本欲しい。

銃を収め、剣に流せるだけの炎を流し込む。
そして繰り返される彼との打ち合い。
先程までは銃身で無理矢理受けていた現在は何も持っていない左側。
彼が狙ってこないはずもなく、容赦なくトンファーは振り下ろされる。

来い

ガキンという金属音と共に左手にも同じ剣が握られていた。
受け止めた隙に右手の剣を振るうが彼は後ろに跳んだ。
その為一撃としては軽い。
いつもの初撃での致命傷とは程遠い。
そもそも結局初見の攻撃。それでも。

「……まずは、一太刀」

即席の二刀流。
まだまだだけど感触は悪くない、むしろ良い。
むしろ問題は炎をごっそり持っていかれてる気がすること。
長期戦には向かないがそれでも今はこれで喰らいつく。
そう思った矢先だった。

「……そろそろだね」

彼は黒い掌ほどの三角錐を取り出す。
立方体ではないが匣だろうか。

新手を警戒しないわけにはいかず、武器を変える。
左手の剣は離すと霧散し、その手で銃を持つ。

彼はそれを同じように開匣した。

「っ！！」

考えるよりも先に体が動く。
その匣から出てきたのは普通の黒い鎖。
それが超スピードであることさえ除けば。
銃のブーストで飛んで避けても避けても追ってくる。

「それなら……っ」

納刀し炎を銃に流し込む。二丁拳銃ならずっと見てきた。
これでなら、と思った。

「えっ」

ところが銃は形作られず霧散する。
それどころか飛べずに落ちていく。
最悪なタイミングでのガス欠。
宙に投げ出された状態でその鎖を避けれるはずもなく絡め取られる。
視界が暗闇に染まる端で悲痛な顔の彼があった

「信じてる」

その声を最後に視界は闇に閉ざされた。