【REBORN】最弱幹部は息を潜める 2nd Bullet (ページ29)

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目的53:悪夢の片鱗ページ29

「……とりあえず、手を離してくれる？」

舌打ちをしながら獄寺君は私を解放した。
言われてみると嵐のリング戦のそんな話を聞いた気がする。

「……善処することは約束するよ」
「確約しろ！！」

そうできたらどれだけよかっただろう。
私はそうは生きれない。
こんな人殺し早く死んでしまえと願い続けている。

「…………ごめんね」

たぶん今はひどい顔してる。これ以上は誰も何も言わなかった。

「まぁ、少しずつでいいんじゃねーか？」

なっ？と山本君は私の頭を撫でた。

「そういえばA、イタリアからどうやってここまで来たんだ？」

話題変えも兼ねて聞きたかったという様子でリボーンが問いかけた。

「え、普通に」「普通に？」

他の人達も興味津々の様子だった。
別にそんなかっこいい移動方法ではないんだけども。

「だから普通に……飛行機乗ったり電車乗ったり」
「つまり一般人に紛れて来たってことか？」
「うん。武器もリングも一切持たずに極々普通の一般人として堂々と」

数秒の沈黙の後。

「ミルフィオーレに見つからずに？」
「リングも武器もなしに？」
「全部すり抜けてきたと……？」

各々の問いに頷くとそれぞれ絶句した。

「まぁ木の葉を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中なのは常套手段だからね」

だからこそヴァリアーの誰とも行動を共にせず単身でここまで来たんだから。
その方が確実というのあったけど。

「よかったなツナ、味方で」「うん、本当に……」

しみじみとしているが、私の変装をあっさり見破る人が言うのはいかがなものなのだろうか。

「でもツナならすぐ見破るでしょ。それも考えてのことだったし」

と言うと笹川君は机を大きく叩いた。

「そうだ！あのときは何だったんだ！！
京子達が驚いていただろう！！」

そういえば兄妹だったと思い至る。
まぁ妹想いなのはいいことなのだろう。

「あの猫かぶりの私が名乗ったって信じてくれるか微妙だったし、
ツナなら見破っちゃうだろうからそれが双方1番安全でしょ」

私も武器持ってなかったんだから、と付け加える。
ぐぬぬ……とうめき声が聞こえたがすぐにまた机を大きく叩く。
頭に血が上っているように見えた。

「京子達にはこんな恐ろしい話をするわけにはいかないんだぞ！！」
「なんで？」「わからないのか？！」

わかるわけがない。
隠し事をされたという点でリング争奪戦の自分と重ねてしまっていた。

気持ちとしては理解できてもそれを飲み込む気にはなれなかった。