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目的24:もう一度、貴方と ページ25

「玉砕されに来ました」

そうにこやかに言った私を見て彼は唖然とする。

「……どういうこと」

せっかくの綺麗な顔の眉間にしわがよる。
何言ってんだコイツ、といった言葉が透けるようだった。

「いやぁ、流石に逃げたと思われたままなのは癪だし……
かといって善戦できるかも自信ないのでここは潔く宣言してみました」

彼は深いため息を吐き、呆れたように言う。

「僕に名前覚えさせるんじゃなかったの?」
「あのときはスクさんにも煽られて
ちょっと調子乗ってたというか……
まだ手札そこまで見せてなかったから善戦くらいできる自信あったというか……」

確かに負けるのを分かってて挑むのも変な話であることはわかっていて。
それでも彼には逃げたと思われるより
負けた方が良いと思ってしまった。

帰る前にもう一度顔を見たくて
そのためになら負けくらい構わないから
という本心を知れば君は笑うのだろうか。

彼は何度目かのため息を吐いて椅子から立ち上がり
こちらへ歩いてくる。

「着いてきなよ。お望み通り咬み殺してあげるから」

別に望んではいないんだけどなぁ
とぼやきながら後ろを歩き、屋上へたどり着く。
そこまで会話は一切なかった。
その間の空気感も張り詰めたものではなく
むしろ嫌いではないと思えるくらいだった。

「ここなら広いし邪魔も入らないから」

と着いて早々に彼は武器を構える。
それをみて私も銃と剣を手に取る。

「さてはて、私はどこまでやれるかなぁ」


そこから武器を交え始めてどのくらいたったのだろう。
3分くらいな気もするし1時間以上な気もする。
そんな短くて長い戦いの末


「…………とどめ、ささないんですね」

首にトンファーを当てられている。
案の定、完敗であった。
ただ、戦闘狂の彼ならきっちりぶっ飛ばされるかなと思っていたので、想定外の決着に驚いた。

「別に、ただの気まぐれだよ」

そう言ってトンファーを下ろす。

「咬み殺さなかった代わりに聞きたいことがあるんだけど」

そしてこちらを真剣な眼差しで見つめた。
本当に絵になるなぁと思いながら首を傾げる。

「まぁ答えられることでしたら……」

何聞かれるんだろう。
あまりボンゴレとかに興味なさそうだけど、
と思っていたら予想外の言葉が出てきた。

「名前」
「…………はい?」
「君の名前。覚えるどころか君から聞いていない」

盛大に吹き出してしまった。
だって咬み殺さない代わりに名前教えろなんて想像できるわけないじゃない?

目的25:貴方の名前→←目的23:この感情の名前 〜雲雀side〜



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透嘉(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» かっこいいですよねぇぇ!この物語の雲雀さんそこまで俺様じゃないけどこれはこれでかっこと思うのです!(個人調べ) (2021年12月16日 8時) (レス) id: 78d91e03ad (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 雲雀さんかっけええ🥺 (2021年12月15日 12時) (レス) @page30 id: 6f7b9e6ac6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:透嘉 | 作成日時:2021年10月31日 10時

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