side:gaku ページ5
車を走らせてやってきたのは海。
冬の間は寒くて来れなくて、ここに来るのはすごく久しぶりだ。
いつかのように並んで石段に腰を下ろし、キラキラと月に照らされる海を眺めた。
岳「気づいたら梅雨終わってた。気づいたら8月になってた。」
『もうすっかり夏だね。海風気持ちいい。』
優しく頬を撫ぜる風は、潮の匂いとともに大好きな甘い香りを運んでくる。
岳「....俺、いっぱいかっこわるい所見せちゃった。ごめんね。幻滅した？」
『幻滅なんてするわけないでしょ。1年も一緒にいるのに岳はなんにもわかってないんだから。』
痩けてしまった俺の頬。Aはその頬を包むように手を当てると優しく微笑んだ。
『大好きだよ。どんな岳も全部好き。』
そっと重なる唇。一瞬だけ触れて離れたAは目を細めて優しく笑った。
岳「Aがいたから元気になれた。Aのお陰でまた前を向けた。本当にありがとう。」
『岳の力になれたなら嬉しいよ。』
岳「俺すげーびっくりしたんだ。口移しで水飲まされた時。」
あの時は何も口にしたくなかった。
どうせすぐ吐き出しちゃう。どうせ飲んだって今更代表に行けるわけでもない。
それなら水飲んで苦しむ必要ないじゃんって思ってた。
岳「よくゲロってるやつにちゅーできるよね。笑」
『一応口濯いだ後だし、セーフじゃない？笑』
岳「何を基準に言ってるのかわかんないけど、俺はアウトだと思うよ。笑
でも、あれでばっちり目が覚めた。」
このままじゃだめだって思った。
泣いてたって何も変わらない。1分でも1秒でも早く身体治さなきゃって。
岳「水飲むのまじ辛かった。もう吐き過ぎて喉痛いし苦しいし。でもAの優しさがすげー伝わってきて、しっかりしなきゃって思ったんだ。」
『....私、また岳に気負わせちゃった？』
岳「違うよ。後ろを振り向いて嘆くのはやめようって思ったの。ちゃんと前を向いて、今自分にできることしっかりやろうって思った。
そう思えたのはAのお陰だよ。本当にありがとう。」
よかった、とつぶやいて優しく笑う彼女に少しだけ長くキスをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 699人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Pin(プロフ) - Ayuさん» お久しぶりです(^^)何度も読み返ししていただいてありがとうございます！とっても嬉しいです♪岳さんはどんまいですね笑 優子ちゃんと聖真くんも実は....このお話はまた別のどこかで！笑 (2016年6月21日 21時) (
レス) id: 68d9f0fc5a (このIDを非表示/違反報告)
Ayu(プロフ) - お久しぶりです！またまたwithから読み直したAyuです☆岳さん、残念でしたね。笑 ゆうこちゃんとショウマくんも何やら良い感じ？で楽しみです^ ^！ (2016年6月14日 23時) (レス) id: 71da5e2142 (このIDを非表示/違反報告)
Pin(プロフ) - 、さん» お久しぶりです！攻めきれなかったヒロインちゃん、彼女らしいですよね（笑）岳さんは呆れてますが（笑）リアル岳さんは最近やっと復調の兆しが見え始めましたね。代表の舞台に戻ってくるのが待ち遠しいです(^^) (2016年6月14日 22時) (レス) id: 68d9f0fc5a (このIDを非表示/違反報告)
、 - お久しぶりです。肉食系になった主人公ちゃん、最終的に寝てしまうんですね笑！彼女らしいといえば彼女らしいです(^^)リアル岳くん誕生日でしたね！また代表にも選ばれるといいのですが… (2016年6月2日 2時) (レス) id: b43066a400 (このIDを非表示/違反報告)
Pin(プロフ) - 、さん» こんばんは！いつもありがとうございます◎可愛い岳さんがお届けできて良かったです！ギャップっていいですよね（笑）岳さんのお料理が成功するように見守ってあげててください！笑 (2016年5月6日 21時) (レス) id: 68d9f0fc5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Pin
| 作成日時：2016年2月21日 23時
