heartfelt X

side:gaku ページ30

今日もいつも通り練習。
クラハにはたくさんのサポーターが集まってくれて、練習後はその人たちにファンサ。サインをしたり写真を撮ったり。


可愛いちびっ子と写真を撮って次の人、と思ったら見覚えのある顔が俺の前に立った。




雅「しばさきせんしゅめっちゃすきです。らぶれたーかいたんでよんでください。」


岳「は？」


雅「あくしゅとしゃしんはけっこうです。ぼくてれやなんで。」


岳「はぁ？」




棒読みで告白されて、ドンと胸に紙を押し付けられる。意味がわからなくてぽかんとすると雅樹は俺の目を見てから去っていた。





岳「......なんだあいつ。」




周りにいた人も不思議そうに首を傾げてこそこそ。隣でファンサしていた聖真たちも不思議そうに首を傾げる。




「岳くん、サインお願いしてもいいですか？」


岳「あ、はい。」




なんだろう、あの真剣な目。気になる。
道端で会って立ち話をすることはあってもわざわざ会いにくることなんてなかったのに。






康「岳、男からラブレターもらってたな。笑」


岳「あいつ知り合いなんすよ。」


源「Aちゃんの同僚です。」


康「なーんだ、つまんねー。」




クラハに戻って来て貰ったものをテーブルに置き、雅樹からもらった紙を手に取る。みんなも気になるみたいで俺の手元を覗き込んだ。





聖「....え？どういうこと？」


源「岳そんなこと一言も言ってなかったじゃん！」


梅「おまえ知らなかったん？」





【 Aがストーカーされてる。おまえが助けないなら俺がAを助けるから。】





書いてあったのはそれだけ。





岳「ストーカーってなんだよ......」





そんな話一言も聞いてねーよ。
Aに最後に会った時はなにも言われなかった。会わなくてもずっと連絡は取ってたのに、それでもAはなにも言わなかった。



今度のドライブは千葉に海鮮食べに行きたいって言ってたじゃん。そんなことしてる場合じゃないだろ。





岳「出かけてくる。」


梅「Aちゃんとこ行くん？仕事中ちゃうの？」


岳「雅樹んとこ。あいつ私服だったし、多分仕事休みだろ。」


聖「岳、なにがあったのかわかんねーけど俺らも協力するからな。」


梅「俺らもAちゃん心配やし。」


源「Aちゃんになにかあったら困る。帰ってきたら状況教えてね。」


岳「わかった。ありがとう。」




急いで車に飛び乗り、通い慣れた道に車を走らせた。

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