heartfelt X

side:masaki ページ29

次の日、俺は仕事が休みだった。
でもAは仕事があるわけで。




『送ってくれてありがとう。わざわざごめんね。』


雅「これくらいいいよ。この後警察行って昨日の渡してくるから。もし進展あったら連絡する。くれぐれも気をつけろよ。帰りも迎え来るから。」


『本当にありがとう。』


雅「Aには悪いけど、公太さんに事情話した。勝手にごめんな。
今日公太さんアポないらしくて時間あるんだって。Aのアポ一緒に行ってくれるって言ってたから声かけてみて。」


『公太さんにまで迷惑かけちゃって.....私最低だね。』


雅「なに馬鹿なこと言ってんだよ。困った時は助け合いが基本だろ。ギブアンドテイクだよ。」


『......うん。』





最近のAは本当に元気がない。ストーカーに生気も吸い取られてるみたい。


元気がないのは公太さんも気づいてて、心配してたから話した。勝手に言っちゃったのは悪いけど、事情を知って守ってくれる人が多いに越したことはないから。





仕事頑張れとAを会社へ送り届けてその足で警察へ。手紙と録音を渡すと警官も顔を顰めて "見回りを強化します" と言ってくれた。
ただ、昨日渡した番号では犯人は特定できなかったらしい。



アパートに帰って来てAん家のポストを覗く。そこは空だった。
宛名も消印もない封筒。ストーカー野郎はどのタイミングで入れてるんだろう。


部屋へ戻り大きく息を吐く。




雅「他に俺ができることは.......」



昨日Aを帰した後もずっと考えてたけど、ここまで来たらやっぱりだめだよな。俺だったら嫌だ。



ソファに座ってコーヒーを飲みながら紙にペンを走らせて適当に折る。




俺めっちゃいいやつだな、と自分で自分を慰めて部屋を出た。

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