heartfelt X

# ページ23

美咲さんに相談してから数日。
今日も仕事を終えて足早に帰路につく。手には美咲さんがくれたお守りを握りしめて。


道端の草むらがガサっと音を立てただけでびくっと体が反応し、後ろを歩く高校生にびくびく。



こんなに怖がってちゃだめだと思いつつも視線は感じるし過剰に周りに反応しちゃうし。





『......はぁ、疲れる。』




アパートの玄関を開けると一気に体の力が抜けた。こんな生活いつまで続くんだろう。やっぱりお祓いしてもらってこようかな。


せっかく仕事が落ち着いてゆったり楽しく働いてるのに、これじゃ忙しい時とストレス変わらないよ。




今日の夜ごはんはなににしようかな、と冷蔵庫を覗いている時聞こえた着信音。


音を立てたのは私のiPhoneではなく、社員に配られている仕事用のガラケー。
表示された番号は知らない番号で、でもお客様から電話がかかってくることもしょっちゅうだし、ためらいなく通話ボタンを押した。





『株式会社ーー茨城支店の山本です。』


「.......」



『もしもし？』


「.......」




なにも返答のない電話に背中に冷や汗が伝う。





『.....あの、もしもし。』




ぶちっと切れた電話。わけがわからなくて、恐怖心だけが煽られお守りを握りしめる。




prrrrrrr.......




びくっと体が反応して今度はiPhoneに目を向ける。でもそこに表示された名前を見てホッと息を吐いた。





岳「もしもし？もう家？」


『岳っ、』


岳「え？Aどうした？」


『.....ううん、なんでもない。どうしたの？』


岳「今まで出かけててさ、アパートの近く通るから家いるなら寄ってこうかと思って。」


『今帰ってきたところなの。丁度ごはん作ろうと思ってたんだけど食べる？』


岳「食う。あと10分くらいで着くから。」


『じゃあ待ってるね。』





iPhoneを置いてため息。ガラケーの方の番号はiPhoneで検索してもわからず、只々謎。





『.....ただのイタ電だよね。そうだよね。』




イタ電だってよくあることだし。会社名名乗っちゃったのまずかったな。悪質なイタ電じゃなきゃいいんだけど。



そんなことを考えながらまた冷蔵庫の扉を開けた。

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