heartfelt X

# ページ21

あの大雪が嘘かのように3月になると以前よりも優しい風が頬を触った。




美「お腹空いたわねー。」


『久しぶりに午前中バタバタしましたもんね。』


美「最近やっとのんびりになったのに。」



年が明けて彼氏さんと一緒に住むため引っ越してしまった美咲さん。最近は結婚式の準備やらで仕事後や休みの日も忙しいみたいで、一緒にいる時間も減っちゃってさみしい。





美「今日はなに食べようかな。」


『私はー、』


おじ「Aちゃん生姜焼きだろ？」


『おじさんわかってますね！』


おじ「ここ来る2回に1回は生姜焼き食うからな。笑」




今日も元気なおじさんとおばさんに迎えてもらって美咲さんとさくらへ。





美「Aちゃん？」


『.....今、窓の外に誰かいませんでしたか？』


美「さぁ？私はわからなかったけど。」




ここ1ヶ月ほど、急に誰かの視線を感じるようになった。でも振り返っても誰もいないし、後を付けられてるわけでもなく、只々なんとなく視線を感じるだけ。


これはもしかして、





『み、美咲さん.....！』


美「ん？」


『私、取り憑かれてるかもしれないです.....！』


美「は？」




運ばれてきた料理を食べながら美咲さんにここ1ヶ月の話をすると、最初は呆れ顔だった彼女の顔がどんどん曇っていった。




美「家とか会社の中にいるときは視線感じないの？」


『はい。道を歩いてる時とかにすごく感じるんです。』


美「商談中は？」


『集中してるから感じないだけかもしれないんですけど.....美咲さんどうしよう。私お祓い行った方がいいですか？』


美「その条件でなんでそうなるのよ。」


『え？だって霊的ななにかが付きまとってて......』


美「違うわよ。それ、ストーカーじゃない？」


『ストーカー！？』




いやまさか。ストーカーされる身に覚えなんてないし、誰かに逆恨みされることなんて.....まさか岳と付き合ってるから？
いやでも、その辺りは岳が神経尖らせて気を使ってくれてるしそんなことあるはずない。

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