２.いや、過保護すぎ！【妖はじ】

伍時間目 ページ10

「断る。」




この時間、いつもは聞こえない筈の佐野の声が聞こえる。
彼の机の隣には晴兄の姿が見えた。

先まで聞こえた会話を思い出すと部活の勧誘をしてるみたい。




「ただでさえここ最近 珍獣のお守りに追われてんのに、これ以上メンドクサイことはごめんだ。」

「えっ、佐野君ペット飼ってんの？いつも頭に狸のせてんのに。」

「あぁ、アホ毛の生えたセーラー服好きの珍獣だ。」




……晴兄のことだ。それ以外ありえないな。
しかし本人は気付かずに部活の話に戻る。




「ねーねー。見学だけでもしよーよ〜」

「し･な･い。もう帰れよ」

「ホラ、この本に載ってる教育評論家のムニエル齋藤さんも言ってるよ!!
青春したくば部活しろって！」

「なんだよ、そのエセ占い師みたいな名前の奴。」

「知らないの？最近テレビによく出る教育評論家!!」




晴兄って意外とミーハーだよなぁ。
それにしてもムニエル…ムニエルか。今日の夜はムニエルにしようかな。

再度帰れという佐野と晴兄の間に狸塚が口を挟む。




「部活なら俺のいる生物部に来てよ。」

「えっ、狸塚君生物部なの!?」

「そうだよー!!
ホラ、前に二人がつっこんだマンドラゴラ園のマンドラゴラも俺が育てたんだよ!!」

「「えっ」」




あれ、狸塚が作ったんだ！
マンドラゴラって育てられるんだ。全然知らなかったなぁ。それもメモ帳に書いておこう。




「ねぇねぇ、見学だけでいいから来ておくれよ〜。
部員 俺だけなんだよ。」




狸塚はニュッと佐野の膝の上に移動する。
彼に弱い佐野は「しゃーねぇなぁ」と言いながら部活の見学に行く事を決めた。

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