いつでも_テヒョン視点 ページ40
ヒョン(店長)はソウルの実家に帰っていて、留守の間を頼まれているから店にはAと俺だけ。
静かすぎる空間にさらに沈黙が走る。
テヒョン「ごめん…俺の作るコーヒーなんて美味しくないかもだけど。」
A「いいよありがと。」
そう言うと俺の作った大して深みのないコーヒーをゆっくりと口に運ぶ。
そして嬉しそうに美味しいって笑うんだ。
テヒョン「…A…どうしてここが分かったの？」
A「ソジュン先生が教えてくれた…でも。」
でも？
A「…テヒョンなら、お母さんと私の思い出の場所にいる気がしてた。」
！！！！
テヒョン「A…覚えるの？」
俺はAに駆け寄る。
A「覚えてるのって…テヒョンこそ…。」
驚いた表情のA。
俺馬鹿だな…勝手に思い込んで…
テヒョン「俺は、覚えてる！あの日！Aに水をかけた日もずっと！覚えてる！」
涙が溢れた。
A「テヒョン…私てっきり…」
Aの声が震えた。
テヒョン「A…本当に全部覚えてるの？」
A「この間…思い出したの。大切なこと全部忘れてた…ごめんね、テヒョン。」
どうしよう。
どうすればいいの。
この気持ちはどこにぶつければいいんだろう。
俺はAを抱きしめた。
テヒョン「…良かった…ううん、いいんだよ。でも、思い出してくれただけで…本当に嬉しい…おかえり、A。」
A「…ただいま。」
しばらく抱きしめたあと涙拭きはなれる。
テヒョン「ごめん…ジミンがいるのに…。、」
A「別れたよ。」
え？
テヒョン「そんな…なんで？」
A「私は…ジミンからしたら最低だけど、でも…今も昔も、テヒョンが好き。…ずっとテヒョンが好きだよ。馬鹿だから気づかなかった…でも、居なくなってからテヒョンのことばっかり考えてた。」
夢なのかもしれない。
Aの言葉が全部ふわふわと聞こえてくる。
それでも重りみたいに俺の中に言葉一つ一つがズシズシ積まれてく。
テヒョン「A…」
ごめん。
もう、これ以上嘘なんてつきたくない。
Aをもう一度抱きしめた。
さっきよりももっと強く。
A「テヒョン…？」
テヒョン「俺も…ずっと、いつでも、Aのことが好きだった。それに…今はもっと好き…俺Aを愛したい。愛されたい。もう二度と…離れたくない。」
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作者名：たんぐん | 作成日時：2019年10月14日 11時
