もう ページ49
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今考えれば仕方のなかったことなのかもしれない。
妹、しかも4歳、が倒れたことへの不安、心配、焦り。
切羽詰まってたのも見て取れたし。
お兄ちゃん、と駆け寄るAに浴びせられた言葉は、とても思いやりのある言葉ではなくて。
Aも目を丸くしたあと、飛びつく前に歩を止めた。
「喉乾いたって、なんでたったそれだけでも言えないの?!暑いって言えばよかったじゃん!!」
『ご、ごめんなさい……。』
「なんでいっつも…、なんでいい子に出来ないの!?」
その叫びは悲痛で。
兄としての全てが詰まっていた。
年の差がある兄妹の、蟠り。
互いが愛おしいからこその、衝突。
『いいこに、してた___』
「してない!だって実際問題、倒れてる!!!」
その声にAは少し押し黙ったあと、喉奥から絞り出すように『うるさいっ……』と。
『おにーちゃんはいつもそうだ……。
なんでAばっかり、おにーちゃんはいいこじゃないのに……?ただくんとけんかしてたのに……?』
「……は?」
『Aのことなんにもみてないくせに……きらい、だいっきらい……。』
『おにーちゃんなんてもういらない、おにーちゃんなんて、なくなっちゃえばいいんだ……』
一筋の涙を流して、頬を高揚させながら、一つ一つの単語を兄にぶつけるように。
周りが呆気に取られるくらい、いい切った後、『もうしらない』と言い捨てて。
出口の1番近くにいた黒尾さんの手を強引に引っ張って、体育館を出ていく。
体育館にはボール、呆気にとられる選手たち、それから呆然と立ち尽くす月島。
日向が静かに「月島、今のはダメだ」と呟いた。
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雷 - 3歳なの?4歳なの?曖昧なのか? (2022年8月17日 14時) (レス) @page49 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これからどうやって仲直りするのかドキドキです! 楽しみにしています (2020年8月23日 13時) (レス) id: a187e33be6 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - すごく泣きそうになりました。涙腺よわくなったのかな、、ありがとうございます頑張ってください!! (2020年8月20日 23時) (レス) id: e043872dfc (このIDを非表示/違反報告)
ぽ(プロフ) - 妹ものの作品を月島くんだけじゃなくて及川さんとかで書いていただけるとうれしいです! (2020年8月16日 22時) (レス) id: ecbf6df878 (このIDを非表示/違反報告)
アル - 続きが気になります!更新頑張って下さい!! (2020年8月7日 20時) (レス) id: 14f18f48ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢 | 作成日時:2020年5月27日 18時