月島蛍、4歳の妹を連れて【夏合宿】

ずるい？ ページ45

小雨が降る夜。


第三体育館にはいつものメンバープラス2人の人で、ミニゲームを行っていた。


その時。



(雀田)「Aちゃん！風邪ひいちゃうよ！」



梟谷の焦った声。

みんながそれに気づき、何かあったのかと外を覗けば、雨の中ただ1人立っているAが。


さっきまで入口にいたはずなのに。



綺麗な金髪と洋服はビシャビシャで、それで尚Aは心底嬉しそうな笑みを浮かべていた。



雀田さんの声にも反応せず、ただ嬉しそうに立ち尽くしている。


どこから見ても、異様だった。


ツッキーがすかさず駆け出し、Aを抱きあげようとすると、鋭い声が。



『いや！』



初めて聞く大声だった、初めてツッキーに反抗しているところを見た。



「ちょっと___」


『いや、こないで！』



ツッキーが一歩進めば、Aが一歩後ずさる。

まるでそれは威嚇する子猫のよう。

ツッキーが言葉で説得しようとも、まるで聞こうともしない。


痺れを切らしたのか、乱暴に抱っこして連れてきた。



「いいこにしててっていったよね？雨の中なんて…風邪ひいても誰も看病できないんだよ？！」



ツッキーも少し強めの口調、木兎が仲裁に入ろうとも、月島家の睨み合いには入れない。


Aはツッキーのことを睨みつつ、「いつもそう。」と一人つぶやく。




『あめがすきなの、だからなの！』


「だからって理由にならないでしょ？！なん____」


『おにーちゃんはいつもそう！！！』


「……A？」









「Aのことなんてみてない！！！それなのにいいこにしててって！！！Aはいいこにしてるのに！！！！！！！！！やくそく、まもってる！！！


おにいちゃんは、ずるい！！！！！！！！！」



それ、Aの4年間の蟠りの爆発、の始まりに過ぎなかった。

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