月島蛍、4歳の妹を連れて【夏合宿】

へのじ ページ44

side 黒尾


ツッキーが昨日の夜、乗り込みに来た時Aは一緒にいなかった。


今日の朝も、いつもみたいに笑ってはいるけれど、所々でフッと寂しそうな顔をする。


おかしかった、明らかに。


それでもさっき抱っこした感じ、熱がある訳でもない。


たまたま気分が乗らないとか、不機嫌だからとか、そんなもんなのかな。


烏野が試合の時、Aはいつもと違って体育館の端で1人また俯いていて。


近寄ってしゃがんでも、目は合わずに気づきもしない。


流石におかしいと思って声をかけると、ゆらりと顔をこちらに向けた。



(黒尾)「んな顔してどうしたよ、オジョーサン？」


『……。』



つんつん、とほっぺを続くと、その重い重い口が開く。



『おにーちゃんのいってることがわからないの。』


(黒尾)「ん？」


『おにーちゃんは……ずるい。』



寂しそうににへりと笑う。


言いたいことはよく分からない。

言葉が足りなすぎる、相談ならもっと色んな話を聞かなきゃならない。


ただきっと、Aの中で何かがあった。


きっと話してはくれないんだろうけど。



俺は何も言えなくて。そっとAを抱き上げて。



「あんまり考えすぎんなよ。」



困った笑みを浮かべる他ない。

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