おにーちゃん? ページ43
それでも。
「……例えば、すごく頑張って烏野の一番の選手になったとして、その後は?万が一にも全国に行くことが出来たとして、その先は?果てしなく上には上がいる。例えそこそこの結果を残しても、絶対に一番になんかなれない!!!どこかで負ける!!
それをわかってるのに、みんなどんな原動力で動いてんだよっっ!!」
『そ、それはちがう、おにーちゃん、だめ!』
幼い妹が、身を乗り出して怒号を出す僕の背中をキュッと掴むが、幼い子の力なんてたかが知れてる。
いまは妹じゃない、山口だ。
目の前の山口は唇をぎゅっと噛んだまま。
すると僕の胸ぐらを思いっきり掴み、揺さぶった。
『ただくん、だめ!!!!』
(山口)「そんなもんっ…!!!!プライド以外に、何がいるんだ!!!!」
目の前の山口が、とても恐ろしく見えた。
そして圧倒される。
思わず息を飲む僕、泣きそうになりながら立ち尽くしているA。
空には月が輝いた。
「……まさか、こんな日が来るとは。」
山口はいつも僕の後ろにいた。
いつもツッキーと親しんでくれる、数少ない友人だった。
山口が、僕の上の上、果てしなく上に見えたのだ。
それと同時に、少し可笑しさが芽生える。
山口は唖然としていて、Aの顔は俯いていてよく見えなかった。
「……お前いつの間にそんなかっこいいやつになったんだね。」
(山口)「うぇ?!」
「お前、かっこいいよ。」
少なくとも今のグダグダ考えている僕よりは、確実にかっこいい。
それでもやっぱり。
「でも、納得はできない。ちょっと聞いてくる。」
僕は俯く妹に「いい子にしてて。」と捨て台詞を置いて駆け出した。
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side 山口
Aちゃんは俯きながら立ち尽くしたままだった。
声をかけても、ただ下を向いていて。
幼い子に衝突を見せたのは確実に良くなかった。
「Aちゃん。」
肩を優しく叩くと、ゆらりと顔をこちらに向けてくれる。
その顔は、いつもの笑顔ではなく。
眉毛をへの字にした困ったような顔だった。
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雷 - 3歳なの?4歳なの?曖昧なのか? (2022年8月17日 14時) (レス) @page49 id: 1c759860fa (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - これからどうやって仲直りするのかドキドキです! 楽しみにしています (2020年8月23日 13時) (レス) id: a187e33be6 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - すごく泣きそうになりました。涙腺よわくなったのかな、、ありがとうございます頑張ってください!! (2020年8月20日 23時) (レス) id: e043872dfc (このIDを非表示/違反報告)
ぽ(プロフ) - 妹ものの作品を月島くんだけじゃなくて及川さんとかで書いていただけるとうれしいです! (2020年8月16日 22時) (レス) id: ecbf6df878 (このIDを非表示/違反報告)
アル - 続きが気になります!更新頑張って下さい!! (2020年8月7日 20時) (レス) id: 14f18f48ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢 | 作成日時:2020年5月27日 18時