及川訪ねて三千里【及川徹】

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「花巻さん、この前ぶりです」


明るい木漏れ日が差すカフェの窓際の席で待っていると、「ごめん、待った？」と来た花巻さん。



どうぞどうぞと席に座ってもらって、花巻さんはカフェラテを注文した。


そして前のめりになって、



「どうだった？！」



と興味津々のような顔で。



「無事に会えました。ペアリングの謎も解けましたよ、ご協力ありがとうございました」


「そりゃよかった！」



まるでご自身のことかのように満面な笑みで、喜んでもらえるとこっちも嬉しくなる。




「あの指輪さ〜、俺たちが3年の頃及川に引きずられてみんなで選びに行ったやつだったのよ？だから元カノのなんて言ってるとかほんっと……あいつチキンだよな！」


「ほんとですよね、ぶきっちょ過ぎて…ちょっと呆れました」




またまた明かされた真相に、そうだったんだと思いつつ右指の薬指を見る。


そこには及川とバレー部の方々が選んでくれたらしい、シルバーの美しいリングが輝いていて。



それに気づいた花巻さんが、「お、付けてんじゃん。ってことは〜？」とニヤニヤ。




「ふふっ、まぁ…ね？」


「おめでたいっっ！おめでとう！！」


「あ、いや、別にお付き合いには発展してないです」




今度も大袈裟に喜んでもらったけど、いやいや私と及川先輩はまだその段階にはいってない。




悪いけどそこは訂正させてもらおうかな。




恋人候補なんですよ、と今度はこっちがニヤニヤ。




「恋人候補？」


「はい、恋人候補です」




いろいろ協力してくれた花巻さんには、話したいことが沢山ある。




聞いて貰えませんか？と訪ねるのと、「いいよ！」と満面の笑みで。




「じゃあまずは、及川先輩と再開した時の話をしましょうかね」


「それ俺も気になる」




まだまだ長い、今日という午後。

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