60 ページ10
．
『……千円？ もしかして、三月中の食費？』
合点承知と言わんばかりの表情で『契約金ですね！？』と顔を上げるAに、「そんなわけないでしょ」とそれ以上の妄言を許さない強固なブロックが立ちはだかる。
「仮にそうなら千円ぽっちって僕はどれだけケチなのさ。今日のお礼に決まってるし、君だってホントは分かってただろ」
『分かってはいたけど千円は多いよ。今日の一食分にそんなにお金はかかってないよ？』
「それでもいいから受け取って。買い物から調理までの手間暇も考えて、あとは僕の感謝の気持ちを上乗せしたら妥当なんじゃないの？」
何だその気遣い満点なイケメン発言は。
これはきっとうちの兄には出来ない芸当だ。
Aは悔しさを感じるとともに、やっぱり月島は出来た人だなと感服した。
心の中の兄が「目を覚ませボゲ」と大暴れしているが、彼の細やかな気配りや優しさから頑なに目を背けているのはそっちなのではないかと言い返す。
それはそれとして＿＿＿
『お礼ならお金じゃなくて明日からもうちにくる約束をちょうだいよツッキ〜』
千円札を突き返しながら、情けない顔で懲りずに温情をせがむAに、月島が勘弁してくれといった様子で千円札を押し返してくる。
「いいから黙って受け取りなってば」
『ヤダよ、これって実質手切れ金じゃん！』
「これだから勘のいい子供は……」
『十八歳はもう子供じゃないでしょ！ それに来月にはもう十九だし……あ、そうだ。そう言えばツッキー、私の下着勝手に見たよね？ 来月十九歳になる、もう子供ではない私の下着を。その事に関して多少なりとも罪悪感とか感じてるんだよね？？』
「揺さぶり方が下劣……！ いいこと思いついた、みたいな顔してるんじゃないよ」
『背に腹は代えられないんだもん！ 道徳なんて知らない！ 下着見たお詫びは身体で払ってもらおうか！』
「言葉選びもっと考えてくれる！？ 僕だって見たくて見たわけじゃないんだよ！」
『嫌なもん見せられたみたいなリアクションやめてよ傷付く！』
「別にそこまでは言ってないでしょ！」
激しい言葉の応酬の末に、二人揃ってふーッと息を吐き出して肩を落とす。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1307人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆな - 更新楽しみにしてます！ (5月7日 21時) (
レス) id: cb4c8a46ee (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - ふゆねこさん» そう言っていただけて嬉しいです😭GW付近からまた更新再開目指して頑張りますね！ (4月20日 20時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます、嬉しいです！！ (4月20日 20時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - ぽにさん» わぁ、わあぁ、、嬉し過ぎてちいかわ構文出てきちゃいました😭 またぼちぼち更新していきますので、是非また見に来てください☺️ (4月20日 20時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆねこ(プロフ) - この小説ほんと大好きです！マイペースに続き待ってます！ (4月1日 22時) (レス) @page18 id: cd0c30d1f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メケメケ | 作成日時：2024年2月29日 22時
