53 ページ3
.
今回に限っては発見したのが自分だったから良かったものの、一方的に好意を寄せてくる男すら友達の枠に入れてしまう彼女が今後うっかり家に招くかもしれない訳の分からない男だったらどうするのだ。
あのポヤポヤした能天気小娘に一言忠告してあげなければ＿＿と考えたところで、いや待て、それはセクハラなのではと思いとどまる。
月島にとっては幼い少女でも、世間一般に十八歳の女の子は成人女性に近い扱いを受けてしかるべきなのだ。
それらを踏まえて、自分が今取るべき行動はいったい＿＿＿？
グルグルと巡る思考。見えない出口。
それに伴って芽生える苛立ち。
どうして自分ばかりがこうも心を引っ搔き回され疲弊しなければならないのだとイライラしてきた月島は、深く考える事をやめた。
「ちょっと、A」
ドアを開け、キッチン前でフンヌフンと鼻歌を歌いながら料理に専念している背中に声をかける。
換気扇の音がうるさいのか、彼女はこちらを振り返らない。
歩み寄り、苛立ちを含んだ声でもう一度名前を呼んでみる。
「A」
突然すぐそばで聞こえた声に驚いたのか、『ヒエッ！？』と奇妙な声を上げて飛び上がるA。
はずみで放り出しそうになった菜箸を、月島が危機一髪で空中キャッチ。
「……君はどうしてそうそそっかしいのかなぁ。熱いもの扱ってるんだからもっと気を付けて。火傷したらどうするの？」
『あれッ、これ私が怒られる流れなんだ！？ 驚かせたのはツッキーなのに！？』
「うるさい。そんなことよりも、洗濯物。今後も人を招くなら片づけるの忘れないようにね」
『洗濯物……？』
「そう。ベッド上で部屋干ししてるやつ。仕舞い忘れか仕舞わなくても問題ないと思ったのかは知らないけど、せめて下着は＿＿＿」
『わ、あ、ああああ……ッ！？』
説教を受けている間、ポケッとした顔でこちらを見上げていたAは、下着という単語が出た瞬間に、突然両手をあわあわと月島の眼前で動かしながら叫び出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1306人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆな - 更新楽しみにしてます！ (5月7日 21時) (
レス) id: cb4c8a46ee (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - ふゆねこさん» そう言っていただけて嬉しいです😭GW付近からまた更新再開目指して頑張りますね！ (4月20日 20時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます、嬉しいです！！ (4月20日 20時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - ぽにさん» わぁ、わあぁ、、嬉し過ぎてちいかわ構文出てきちゃいました😭 またぼちぼち更新していきますので、是非また見に来てください☺️ (4月20日 20時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆねこ(プロフ) - この小説ほんと大好きです！マイペースに続き待ってます！ (4月1日 22時) (レス) @page18 id: cd0c30d1f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メケメケ | 作成日時：2024年2月29日 22時
