吸血鬼とのケイヤク ページ8
あれから二十年ほどの時が経った
世界はガラリと変わってしまった
八年前、世界は滅びた
ウイルスが万延したのだ
生き残ったのは、十三歳以下の人間と、鬼を飼っている人間、そして吸血鬼だけだった
私は鬼を飼っているため、ウイルスにはかからなかった
しかし、ある日突然、フェリドが言ったのだ
「よし、君を吸血鬼にしよう」
「……は?」
私は思わず素っ頓狂な声をあげた
相変わらず彼はにこにこと笑っている
「そろそろ鬼の扱いもわかってきただろう?それに、もうすぐ人間との戦争も始まるしね」
彼の言葉を聞き、反射的に彼から距離を取ろうとする
だが、吸血鬼、しかも貴族に敵うわけがない
あっさり捕まえられてしまう
「《天邪鬼》‼」
鬼の名を呼び、力を借りる
刀を振るう
フェリドの片腕が、宙に舞った
しかし彼は全く気にしていない様子で、私に回し蹴りを放つ
それを避けようとして、失敗する
彼の踵が、顎先に当たる
「がっ」
掠っただけで、ぐるんっと、頭が回る
脳が揺さぶられる
膝がガクガクと揺れて、それを《鬼呪》で無理矢理止める
フェリドは笑って言う
「さすが元柊家。そこらへんの人間より断然強いねぇ」
視界がぐるぐる回る
いつの間にか切断した腕も、くっつけられている
先ほどの攻防の間に拾ってしまったらしい
私は全力で後方へと下がる
とにかく彼から距離を取らなければ
しかし、彼はそれに簡単に追いついてしまう
腕を引かれ、抱きしめられる
そのまま首に、喰らいつかれる
フェリドは勢いよく血を吸い始める
嫌な音が耳を劈く
血が、命が、吸い出されてゆく
そして、脳髄を麻痺させるような快楽が、全身を貫く
「ぐ、………う、………あ」
声が、口から漏れる
しばらくして、首から口が離された
抱きしめられているため、フェリドの顔が至近距離で見える
やはりいけ好かない笑みを浮かべている
唇の端からは、私の血が垂れていた
「ああ、死んじゃいそうだね。早く助けてあげないと」
彼は笑って、懐から瓶を取り出す
その中に、なにか揺れる液体が入っている
おそらく、吸血鬼の血だ
人間を吸血鬼にするには、貴族の吸血鬼の血を飲む必要があると、何かの本で読んだ気がする
彼は血の入った瓶を二、三回振り、無理矢理私の口に注いできた
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ルカ - 吸血鬼側の夢主大好きです。これからも更新頑張ってください！ (2017年10月29日 12時) (
レス) id: fafbd1fba3 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - 山田花子モドキさん» ありがとうございます！そう言ってくださると嬉しいです。更新頑張ります！！ (2017年8月25日 23時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
山田花子モドキ - 更新頑張ってください！！こういう作品あまりないので、とっても面白いです！！ (2017年8月25日 18時) (レス) id: 11c8cc3cad (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - こけしさん» こちらこそ、ありがとうございます。 (2017年7月28日 23時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
こけし(プロフ) - ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ星を百個あげたいっ！！ありがとうございますうううううう← (2017年7月26日 0時) (レス) id: 7f4d6f5010 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年1月14日 20時
