吸血鬼のセカイ ページ11
目を覚ますともう夜だった
上半身を起こす
死にかけていたはずの自分の体が、羽のように軽い
周囲を見渡す
ここはフェリドに与えられた、自室だった
窓の外には、綺麗な月が浮かんでいる
目に映る景色は、今までとはまるで別物だった
世界の色彩の細やかさが、よりはっきりと見える
闇の濃淡が。風の動きが
自然のすべてが今までより明確に、美しく視ることができた
感覚も鋭くなった
空気の流れが。湿度が。気温が
すべてが美しく、とても重要に思える
この世界はとても重要だ
なのに、
「………」
やはり、人間として大切なものが欠落していた
美しいものに対して、感動するための力が薄れたように思える
この世界に、何の興味も抱けなかった
あるのは渇き
血への渇き
飲みたい
血が飲みたい
人間の血が飲みたい
そこで、自室の扉が開かれた
そちらに視線を移すと、ワインボトルとグラスを持ったフェリドが立っていた
血の匂い
美味しそうな血の匂い
自分の喉が鳴るのがわかった
体が血を欲していた
血が足りない
圧倒的に血が足りない
血を飲まなければ、正気を保つことができない
視界が狭くなる
自分の瞳は、ワインボトルに釘付けになっていた
「そんなに焦らない、焦らない。今すぐ入れてあげるから」
フェリドは机にそれらを置いた
ゆったりとした動作で、グラスに血を注ぐ
彼はそのグラスを持ち、こちらに近づいてきた
「はい、どうぞ」
グラスが差し出される
私はそれを受け取る
血への欲求は凄まじい
これ以上、耐えることは出来なかった
私は血を飲んだ
喉に血が通るのを感じる
震えるほどの快感と、大きな恍惚感が得られた
「ようこそA。吸血鬼の世界へ」
そう言って彼は、愉快そうに嗤った
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ルカ - 吸血鬼側の夢主大好きです。これからも更新頑張ってください！ (2017年10月29日 12時) (
レス) id: fafbd1fba3 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - 山田花子モドキさん» ありがとうございます！そう言ってくださると嬉しいです。更新頑張ります！！ (2017年8月25日 23時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
山田花子モドキ - 更新頑張ってください！！こういう作品あまりないので、とっても面白いです！！ (2017年8月25日 18時) (レス) id: 11c8cc3cad (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - こけしさん» こちらこそ、ありがとうございます。 (2017年7月28日 23時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
こけし(プロフ) - ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ星を百個あげたいっ！！ありがとうございますうううううう← (2017年7月26日 0時) (レス) id: 7f4d6f5010 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年1月14日 20時
