メンバー全員俺の嫁 (ページ11)

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弟VS嫁ページ11

『あ、やべ』

「んぁ？」「どした？」

パンツのポケットに手を当ててポツリと零せば、今まで一緒に話していた樹と優吾が同時に首を傾げた。
うわ、あざとかわいいな…とか言ってる場合じゃねえって。

「え、漏らした？」
「ははっ、それそんなテンションで言うやつじゃねえだろ！」

『いや、スマホ家に忘れてきた』

俺がそう言った瞬間、目をまんまるにした2人がはあ！？と詰め寄ってきた。
その大声に、はしゃいでいた末ズたちまで寄ってくる。

え、家に？
普通スマホ忘れる？
今日のお前、カバンすら持ってきてねえじゃん。
スマホと財布くらいしか持ってくるものないのに、なんで忘れるわけ？

『いつも財布持ってこないやつが言うセリフじゃないだろ笑』

「ていうか、今気づいたの？楽屋きて30分は経ってるけど」

財布忘れ常習犯のおぼっちゃんを軽く小突く俺に、北斗が不思議そうに問いかけた。
いや、俺も驚いてるけどさ…

『しょーがないじゃん？スマホよりお前らと話してたかったの』

ここにくるまでの車内はジェスと一緒だったし、楽屋来てからは樹と優吾とずっと話してたし。スマホ見る必要なかったんだよ。だから仕方ない。

俺の答えに満足したのか、末ズが嬉しそうに肩を組んできた。

「綾、珍しくドジだね！AHAHA！」
「俺らのこと好きすぎでしょ〜」

好きなのは当たり前なんだけどさ、それよりうん、これは…久々にドジったよね。

7人での雑誌撮影だけならまだしも、その後個人仕事あるしなぁ。
事務所の携帯借りるか？いや、流石に今日の仕事内容的に無理か…

んー…あ、そうだ。

『秋いるんだった。持ってきてもらお』

秋…あ、俺の弟ね。
たまに俺の家泊りに来るんだけど、たまたま昨日も来ててさ。で、今日の仕事は午後からって言ってたからまだ家いるはずだし。申し訳ないけど持ってきてもらおう。

『誰か秋の連絡先持ってるやついない？』
「あ、俺持ってる〜！」

さすがライン友達800人のジェス。
早速スマホを借りて電話する俺の横で、メンバーは弟の話で盛り上がっている。

「Aの弟くんって、確かモデルだったよね」
「ジェシー知り合い？」
「前に雑誌の撮影で一緒でさぁ、綾とは違うタイプのイケメンだった！」
「え、てか弟くん持ってこれんの？」
「確かに。スマホ家でしょ？」

質問には後で答えるよ、その意味を込めてメンバーに軽く微笑んでから、俺は電話口で呆れ口調の弟に頼み込んだ。