prologue4 ページ4
「A」
深夜一時。体の重みと、耳元のゾクゾクとした刺激で私は目を覚ました。
「……テヒョン、さん……」
「ヒョンから聞いた。ここやめるんだってな」
「そうですけど……」
起き抜けで頭が回らない。
「ここやめたらジョングクに合わせなくて済むからラッキーかも」
ごめんなさい。ジョングクさんこれからも私に会う気満々でいます……
「A〜かわいい」
「……苦しいです」
上にかぶさるように乗っかられて重たい。
「んーそっか?ごめんごめん」
「っ……!!」
今度は思い切り首を絞められる。苦しい、苦しい苦しい。
「泣いてる。あー、俺の腕ひっかいちゃって。俺アイドルなのになぁ。
かわいいから許すけど」
今さっき首を絞めていた手で頭を優しくなでられた。
と思えば、次は肩にかみついてくる。
「痛っ、」
そして噛んだとこをを優しく舐める。
「かわいいよ」
痛くて苦しくて、電気もついていないから怖くて、頭の中がぐちゃぐちゃだ。
「怖いね、おいで」
怖くなったのはテヒョンさんのせいなのに、テヒョンさんは私を優しく抱き寄せ、子供をあやすようにゆっくり背中をさする。
すると腰の方で、カチカチと音がした。
……カチカチ?
「や、やめてくだ「みんな起きちゃうよ?」
「っ……ゃ、やだやだやだっ……」
「わがまま言わない」
これがわがままならなにがわがままでないのだ。
「大丈夫だよ」
テヒョンさんは柔らかく微笑み、左手で私の顔を包み込むように自分の方に引き寄せ、
右手に持つカッターで私の腰をすー…と撫でた。
不思議とあまり痛さは感じなかった。
「少し血がにじむ程度にしておいたから大丈夫」
何が大丈夫なのか。
「怖がってるAほんとかわいいね」
こんなサイコがアイドルとは世も末だ。
「おやすみ、愛してる」
最後にねっとりとしたキスをして、テヒョンさんは自室へ戻っていった。
今更、カッターの切り傷がジンジンと熱を持ち出した。
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作者名:kiina | 作成日時:2019年1月20日 18時