prologue２ ページ2
自室で荷物をまとめたり、新しい仕事を探したりと忙しくしていると、突然ふわりと優しく香ったかと思うと、温かい腕が私の体を包んだ。
「荷物なんてまとめて、旅行？
……もしかして、辞めるの？」
「……そうですやめるんです、離れてください」
ジョングクさんはかわいく眉を下げる。
けれど、彼の裏の顔を知っているから怖くてたまらない。
「なんでいつも、俺といると辛そうな顔するの？俺のこと嫌いなの？」
あなたのせいで、あと三日でここを……とは言えなかった。
元凶はもう一人いる。
その二人の仲が最悪にこじれ、それが原因で音楽が崩れ、それが原因でメンバー全体がこじれ。
「ねえ、俺はこんなに好きなのに」
「……」
「……聞いてんのかよ」
「っ、」
突然声が小さく、冷たくなり、耳元でささやかれる。
「ねえ、なんで俺を選んでくれないの？俺、Aをヒョンに取られるなんて無理、死にそう」
「やだ、」
「ん？そうだよねAもテヒョンさんなんて嫌だよね？」
「ちが、そうじゃなくて、」
ジョングクさんは強引にキスをしてきた。いつものように。
私の背中をゆっくりと撫でながら、徐々に激しく迫ってくる。
「いつもそうやって泣いてさ。いつになったら俺のものになるんだろう。
見て、Aが優柔不断なせいで、これ」
オッパの腰に痣が増えている。またテヒョンさんとやりあったんだ。
「……私はどっちのもとにも、いきませんから」
「……むかつく」
私がここへ来たばかりのころは、グクさんとテヒョンさんはすっごく仲良しで、よく一緒にふざけあっては、笑っていた。
それなのに。
「ね、好きだよA。
ここからいなくなっても、俺たち二人で会えるよね？
じゃなきゃ、本当に俺どうにかなる」
私を腕に抱えたまま、オッパは目を細めてささやいた。
どうにかなるも何も、オッパはもうすでにどうにかなっている。
「大好き、絶対逃がさない」
そういうオッパに、もはや何も言い返すことができなった。
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作者名：kiina | 作成日時：2019年1月20日 18時
