391 ページ41
．
消太を前に突如くどくどと饒舌に説教垂れるAを見て、朧は目をまん丸に見開いた。
年末に映像で見た彼女の印象、ネットで噂されている彼女の実態、そして短い間ではあるが実際に彼女と接してみた結果を総合して、朧はAに対して必要最低限の言葉しか口にしない寡黙な女性だという認識を持っていた。
それがどうだ。
朧の親友を前によく回る彼女の口は、彼女が消太に対してそれほど強い思い入れを抱いている事の証明のような気がしたのだ。
「やだ……！ もしかしてショータってばめちゃくちゃ愛されてんじゃないの……！？」
「俺とこいつはインターンの真っ最中で、ちょうどこの辺りが管轄区だったんだ。今は逃げ遅れた市民の避難誘導中で……そうだな、アズールの言う通りだ。お前が来てくれなかったら、正直かなりまずかったと思う。白雲を助けてくれてありがとう」
両手で口元を押さえた朧の乙女ポーズを全面スルーし、消太は親友の後頭部を鷲掴んで自分と共に下げさせた。
対するAの反応は鈍い。
仮面の下で一度口を開いたものの、そこから出たのは僅かな空気だけであった。
だってAは最初、彼らを見捨てる選択をしたのだ。
今こうしてここに居るのは、結果として朧たちが助かったのは、この集団の中に消太を見たからで。
消太を失うかもしれない事が、辛く、悲しく、寂しいと思ったからで。
そんな私情だけで動いてしまったAは、道具としてはもちろん、ヒーローとしても失格だった。
中途半端でどっちつかず。
非情になりきることも、一人前の人間になりきることも、ヒーローの資格を得ることも出来ない自分の価値が、存在意義が分からなくなって困惑した。
しかし、今はそんな事で狼狽えている暇などないほどの緊急事態であったことを思い出し、余計な思考をすぐさま頭の隅へと追いやる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1413人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メケメケ(プロフ) - まめさん» まめさんお待たせしました〜！また読みにきてくれてありがとうございます！！😭 (5月5日 15時) (
レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 更新待ってましたーーー！！！まじ一生愛ついてきます。 (5月5日 9時) (レス) @page39 id: faa4b97585 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - STELLAさん» ひーーん嬉しいです！😭更新頑張ります〜！！ (5月4日 21時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
STELLA(プロフ) - 更新待ってました!これからも頑張ってください!毎日楽しみにしています! (5月2日 19時) (レス) @page48 id: b056f6d001 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - くじらさん» くじらさんありがとうございます！！GW突入しましたので、また更新張り切っていきますね！！！🔥🔥🔥 (4月27日 9時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メケメケ | 作成日時：2024年1月27日 16時
