368 ページ18
.
ひざし達の目の前には今、田曽宮市街を横断する一体のヴィランが立っている。
カエルのような出で立ちをしているが、その体躯は二階建ての家一軒分よりも大きく、動きは遅いが硬い肉体をもってあらゆる建造物をなぎ倒しながら街を大破壊している真っ最中であった。
「オーライ、アゲてくぜェーーーッ！！」
ひざしが拳を天に突き上げて吠えると、隣の閃走寺の士気も同時に高まったのを肌で感じた。
何せインターン活動を開始して以来、今回ほど大きな仕事が回って来たのは初めてのことなのだ。
やる気も闘志もモチベーションにも、不足はない。
「総員、発射！！」
リーダーの合図と共に、各々が目標に向けて個性を大解放した。
赤、青、緑、桃色、黄色、眩いばかりの白い光線、目には見えない音の振動。
最大火力のエネルギー弾が七名のヒーローから放たれ、的が大きく遅鈍な故に、ヴィランにその攻撃を避ける術はなし。
全ての攻撃が寸分の狂いなく敵に命中＿＿＿すると誰もが確信したその時、ヴィランがカエルのように大きく口をパカリと開いた。
何の真似だとひざしが目を見張った次の瞬間、あろうことか、ヴィランは七色のエネルギーをその体内に全て取り込み、ゴキュリと大きく喉を鳴らした。
「なぁッ！？」
驚きのあまり、皆の攻撃の手が一斉に止まる。
少しの痛みも苦しみも感じていないのか、対するヴィランは動揺の一切を見せないまま全てを平らげ、バクリと大きな口を閉じた。
本当に驚くべきは、ヴィランが攻撃を無効化したことではなく、閉口した直後にその広い背中からボコボコと複数のコブを膨れ上がらせ始めたことだ。
「何だ、あれ……」
「俺たちの攻撃食って、コブが膨れてる……ッ！」
ひざしよりよほど現場慣れしているであろうプロヒーロー達の額に、じっとりとした冷や汗が浮かんだ。
異質なのだ。異常なのだ。
今ここに集うヒーローたちは、攻撃という分野において絶対の自信を抱えていた。
その自信を培えるだけの経験と実績を、積み重ねて来た過去があるのだ。
そんな彼らは、ここ数年____いいや、ここ十数年は起きた事のない不測の事態に直面し、一度は硬直してしまったが、プロヒーローの称号も自覚もお飾りではない。
すぐさまインターン生二人を後ろに下がらせると、相手の出方を探りつつ、第二弾目の攻撃に移る態勢を取った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メケメケ(プロフ) - まめさん» まめさんお待たせしました〜！また読みにきてくれてありがとうございます！！😭 (5月5日 15時) (
レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 更新待ってましたーーー！！！まじ一生愛ついてきます。 (5月5日 9時) (レス) @page39 id: faa4b97585 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - STELLAさん» ひーーん嬉しいです！😭更新頑張ります〜！！ (5月4日 21時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
STELLA(プロフ) - 更新待ってました!これからも頑張ってください!毎日楽しみにしています! (5月2日 19時) (レス) @page48 id: b056f6d001 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - くじらさん» くじらさんありがとうございます！！GW突入しましたので、また更新張り切っていきますね！！！🔥🔥🔥 (4月27日 9時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メケメケ | 作成日時：2024年1月27日 16時
