参 ページ4
だれか、助けて
痛い、主さま
主君どうか、おやめください
主殿、弟の罰は私めに
なぜあなたは、このようなことを
俺は信じてますからね主
ここは地獄だ
主、僕を選んだきみは
そんな風に人を蔑んで笑う人じゃなかった筈だ
主、昔のきみは雅がなんたるかを理解していたじゃないか
何がきみを変えてしまったんだ
君と共に過ごした四季の豊かさを僕は今でも覚えてるんだ
もう久しく筆を握ってはいない
もう久しく主にあっていない
床についてすでに何度季節が巡った？
閉ざされた部屋で四季を感じるのは室温や雨の音だけだ
見舞いに来てくれたお小夜がある日を境に来なくなった
その意味を知った時は流石に死んだ方がマシだと思った
救いを僕たちは求めるが付喪神たる僕たちが
誰かに救いを求めるっていうのもおかしなはなしだ
それでも願わずにはいられない
救いを求めずにはいられない
＊＊＊
1ヶ月経つ頃にはわたしは色々と吹っ切れていた
どうやらこの戦わたしはどちらに転んだって負け戦らしい
審神者が勝ったらわたしは時間の歪みとして世界から処分される
歴史修正主義者が勝ったらこの世界はめちゃめちゃだしわたしも死ぬだろう
だから、政府もわたしにこんな面倒なことを押し付けたんだろう
いわゆるわたしはチェス でいうところのサクリファイス、捨て駒だ
誰も惜しんでくれない命だから、せめてわたしだけは惜しもうと決めた
この1ヶ月泣くか資料を読むかしかなかった
ならもう泣かない、もう十分泣いた
目の前に広がる大きな門を叩く
ギィィと大きな音がして門は簡単に開かれた
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作者名：ニッカリハチエ | 作成日時：2018年11月10日 21時
