にゃんにゃん。2 [×hk]

誕生日おめでとう。[yb×hk] ページ16

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ついてきて、なんて腕を引かれ連れていかれたのは、普段は行かないすごく高級なレストラン。

すごく美味しいし景色も綺麗だし、薮は優しいし。

ずっと幸せなのに。充分なのに。


帰ってからもケーキを用意して一緒にいてくれて。


薮の「おめでとう。」でまた今年も自分の誕生日が来たことに改めて気づかされる。


『今日はありがとね。忙しいのに、こんなケーキまで。ご飯もすごく美味しかったし。』
「当たり前だろ。1年に一度なんだから。」


ふにゃっと溶けそうな笑顔にこっちまで頰が緩んじゃう。

肩を並べて座って、薮の膝の上で重なった手が絡む。


「光…」
『ん？』
「お風呂、一緒に入ろうか。」
『…ん。…はあ？』


薮の方を見ると、さらにニコニコと笑っていて嫌だと言える状況でもない。

俺自身も誕生日だからいいか、なんて小さく頷いていた。




少し熱めに設定したお風呂の温度。


「光、こっちおいで。」


頭も身体も洗って、薮が待つ湯船にゆっくりと足を入れる。

薮の足の間におさまると、後ろからお腹に腕が回った。


「ちょっと痩せた？」
『そ、そう？最近忙しいからかな。』
「お前食べないとどんどん痩せるんだから、ちゃんと食べろよ？」
『わかってるって。』


何回かこうやって2人で入ったことあるけど、やっぱり慣れない。

普段する会話でもなんか緊張する。


「あれ、光耳赤いよ？」


そりゃそうだよ。そんな耳元で囁かれたら。

薮すごいかっこいいし…水も滴るいい男？

心臓がうるさいし熱いしなんかのぼせそう…


「ねえ、光？」


まただ。思わず身体がビクっと跳ねる。


「何、感じちゃった？」
『何言ってん…んんっ』


振り返った瞬間、柔らかい感触。

離れて、また角度を変えて、くっついて。

後ろにはすぐ顔があるってわかってるのに、振り向いてしまう俺も俺だ。


「可愛い光。」
『うっせえ…』


もう上がろうか。

そう言って立ち上がった薮に引っ張られ、俺もお風呂から上がる。


不器用に髪を乾かされ、ベッドの上で他愛もない話をして。


横になって、目があって、幸せって呟けば。


「ねえ、光？」
『…ん？』


いつのまにか俺の上に覆い被さる薮。


「27歳の光、俺がもらってもいい？」


その質問に思わず、ムッとしてしまう。


28.29歳、それ以上になった俺はもらってくれないの？とか


俺はもうとっくに薮のものなのに、とか。


『…ばーか。』


首に回した腕を引き寄せて、答えるように口付けた。

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