時よ ９ ページ9
総統室で暇を持て余していると、グルッペンが戻ってくる。
「どうした、顔が死んでるぞ」
「来たばかりで解読をする気にもなれず、だからといってやることもない」
「そんなお前に朗報だ。仕事だぞ」
グルッペンは一度部屋の外に出た。
何かと思えば、彼は段ボール箱を抱えてやってきた。
「…これを全部？」
「そうだが」
「はぁ…ペンとインクと机と椅子」
「あれを使え」
部屋の隅に置き去りにされた、一見シンプルだがしっかりしている机と椅子。
その上にはインクと、万年筆と、燭台が置いてあった。
燭台や机、椅子には若干埃を被っていたが、息で吹き飛ばして終了。
書類の山を段ボール箱から取り出し、机に置く。
「なんで…もう…面倒…」
「お前が要求に乗ったんだ」
「貴方が要求したのに乗ってあげたの」
仕方がないので書類を一枚見て、白紙にインクを染み込ませる。
何故グルッペン・フューラーはこんなことをさせるんだ。
戦闘要員でいいだろうが。
総統も仕事をし始める。
もっと早くやればいいのに。
私が手合わせをしているときに見物なんていらないのに。
そう考えていると、いつのまにやら一つの束が終了した。
全く、一つ一つが重い。
なんとか箱に押し込み、もう一つの束を取り出す。
「もうすぐ昼食だが」
「私に食事は必要ない。食べられないこともないけれど」
「そうか…いいならいい。では俺は向かう」
「そう」
バタン、と音を立ててドアが閉まる。
さて、早く終わらせよう。
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作者名：ステラ・エイヴェル | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2019年4月7日 22時
