□会いたくなかった理由 ページ9
***
｢……真宙？｣
高杉｢…ぇ、あ、A…！？｣
｢わー！やっぱり真宙だー！｣
.
スタジオで雑誌のインタビューを受け終わり、
エレベーターに乗り込もうとしたところで、
偶然高校の同級生である高杉真宙に会った。
.
｢嬉しい〜！｣
真宙｢俺も嬉しい、すっごい久しぶりだね？｣
.
流星はちょくちょく会ってるみたいだけど、
私は彼に会うのとても久しぶり。
テンション上がりまくって
腕を掴んでぴょんぴょんと飛んでしまった。
.
｢撮影中？｣
真宙｢うん、俺は一足先に休憩中。｣
｢もしかして、…いる？｣
真宙｢うん。残念ながらまだあっちは撮影中だけどね。｣
｢…そっか〜。｣
.
真宙｢ふふ、笑｣
｢ん？｣
真宙｢いや、あからさまに残念そうだなって笑
もうすぐ終わるだろうから呼んでこよっか？｣
｢あっ、いや大丈夫！真宙に会えただけで大満足！｣
真宙｢じゃあ本当に会わないで行っちゃうの？｣
｢うん、仕事モード邪魔しちゃ悪いし。｣
.
役に入り込んで作品の空気作ってるところに、
部外者の私が入っていくのは申し訳ない。
…まあその他にも、ちょっと色々個人的な問題があったり。
.
真宙｢でも俺だけ会って帰らせたって知られたら、
後から絶対うるさいだろうな〜。｣
｢そこはテキトーに宥めといて。笑｣
真宙｢1日ずっと不機嫌かも。｣
｢…えぇ、それはさすがに…｣
.
“ない”
とも言いきれない彼が愛おしい。
私と会えなかったことで不機嫌になる流星を想像したら、
可愛すぎてなんだか笑えた。
***
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作者名：紙兎
| 作成日時：2020年8月2日 17時
