ヴァルキス筆頭と長女２ ページ7
ドミナお兄ちゃんに連れられて、ヴァルキスの色んな所を周った。
寮から本校舎へ行き、体育棟や実験棟、記録棟へ。懲罰棟なんかもあるらしい、怖。
成績上位の人は天空回廊なる所へ入れるらしいが、そこに入ったところで上からの景色が見れるだけなのではと思ったのは内緒である。
それにしても…
「治安悪くない…？」
「ヴァルキスではそこらじゅうで決闘してるからね」
ヴァルキスを周っている間、何度も闘っている人達を見かけた。周っている間ドミナお兄ちゃんが言っていたけど、ヴァルキスは実力主義、弱肉強食の教育方針らしい。イーストンとは大違いだ。
「さ、次はどこに行きたい？」
そんな校風にもう慣れているのか、それとも強いから最初から気にしていないのか、ドミナお兄ちゃんは私の発言に淡々と返答してから私の方を向いた。
今まで可愛いイメージがあったのだけど、ドミナお兄ちゃんって実は結構怖いというか、すごい人なのだろうか…。
「…どうしたんだい？」
「あ、いや
なんかお兄ちゃん、思ってたイメージと全然違うなって…子どもの頃の印象が強いのかも」
「…ああ、なるほどね」
私の発言を聞いてから、お兄ちゃんの雰囲気が暗くなって少し怖気づいた。
すると急に勢いよく手を引かれて、私はそのままドミナお兄ちゃんにぶつかった。途端腕を後ろに回され、抱きしめられる。
「っ…！え、お兄ちゃん…！？」
「…これでもそう思うかな」
ドミナお兄ちゃんにそう言われて、私はお兄ちゃんの体の感触に意識を向ける。昔と違って私より大きくて、固くて、それはまさしく、男の子ではなく男性の体であった。
「昔の僕じゃないよ」
「う、ん…ごめんねお兄ちゃん…」
少し赤くなった顔を見られたくなくて、俯きながら謝ると、お兄ちゃんの優しく笑う声が聞こえた。
そのまま右手を引かれて、私達はその場を後にするのだった。
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作者名：そらいろ | 作成日時：2024年3月13日 19時
