ヴァルキス筆頭と長女 ページ6
アドラ寮2年生時
「ドミナお兄ちゃんのお部屋広いね!」
休日、私は初めてヴァルキス魔学校の寮のドミナお兄ちゃんの部屋にやってきていた。置いてある家具がかなり質素で、それが部屋を広く思わせているのかもしれない。
「イーストンはここまで広くないのかい?」
「いやぁ…イーストンは二人部屋なんだよねぇ」
ドミナお兄ちゃんの問いかけに、私は苦笑いしながら答えた。
別にレモンちゃんと一緒なのが嫌という訳ではないのだが、やはり一人の時間は欲しいのである。ちょっと羨ましい。
「イーストンとヴァルキスって他に違うとこあるかな?」
「さあ?案内しようか?」
「ほんと!?やったー!」
ふと気になってお兄ちゃんに聞いてみたら、ヴァルキスを見て回れることになって私はぴょんぴょん喜んだ。すぐにお兄ちゃんの近くに寄って手を繋ぐ。
「はやく行きたい!行こー!」
「ふふ…、じゃあゆっくり行こっか」
そんな私にお兄ちゃんは優しく微笑んで、軽く私の手を引きながら一緒に部屋を出た。お兄ちゃんとどこかに行くことは初めてで、なんだかドキドキしている。
ふと、握っているお兄ちゃんの手が視界に入った。ドミナお兄ちゃんは中性的な見た目だけれど、私よりごつごつしてて、芯が太くて大きい手は、しっかり男の人のだった。
そんな手が自分の手を優しく、けれどしっかり握られているのが嬉しくて、私は思わず笑顔になった。
114人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そらいろ | 作成日時:2024年3月13日 19時