兄達と長女4 ページ44
「A、これとかどう?絶対似合うと思うんだけど」
「んー?わあ…ちょっと可愛らしすぎじゃないかなぁ」
「そんなこと「あっ、ファーミンちょっと!待ちなさい!!」………」
ドミナは酷く苛ついていた。
せっかく愛するAとお出かけできると思ったら兄達も一緒で、しかも彼女はずっとその兄達に構いっぱなし。自分のことは二の次だ。
監獄に収容されている犯罪者のことを一番に気にするのは確かにそうなのだが。そもそも何故そんな犯罪者共と一緒に出かけようと考えたのだろう。
正直ドミナも犯罪者ではあるのだが、最終決戦での活躍や証拠不十分により、逮捕されることは無かった。
「あれ欲しい、あれくれよ」
「お客さんのだから…!」
特にファーミンには手を焼いているようだった。兄妹の中でも一番お父様の血を色濃く継いでいる人だし、しょうがないのかもしれない。けどAは、お父様のことを酷く嫌悪していたはずだ。なのに何故ファーミンにはあそこまで…
羨ましい。
僕も悪い子になれば、Aから構ってもらえるだろうか。
いいな、いいな。ずるいずるいずるい。Aにあんなに"愛してもらえる"なんて、あいつはAに嫌われるようなことをしているはずなのに。迷惑かけてるはずなのに。
ドミナの目には嫉妬の炎が宿っていた。
Aは昔、嫌なことをしたら嫌いになると、そう言っていた。しかしファーミンが何か迷惑をかけても、Aはファーミンに構ってる。
そんな状況に苛ついていた。
「ごめんねお兄ちゃん、話の途中で…」
Aはファーミンを連れ戻してきた。今度は逃げられないよう、所謂恋人繋ぎなるものをしているのを見て、ドミナはもう、我慢の限界だった。
「…?お兄ちゃんっ!?」
次の瞬間、Aはドミナに勢いよく手を引かれた。ファーミンと繋いでいた手を離され、そのまま一緒に店から出て行ってしまった。
焦ったAが後ろを向くと、ファーミンや騒ぎを聞きつけたデリザスタ、エピデム、ドゥウムが不思議そうな顔をして、こちらを見ていた。
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作者名:そらいろ | 作成日時:2024年3月13日 19時