兄達と長女3 ページ43
「あ、そうだそうだ本買ってもいい〜?」
デリザスタの一言で、A達は本屋に来ていた。勝手に商品をとろうとするファーミンと仕方なく手を繋ぎながら、Aはミステリー小説コーナーに向かうデリザスタについて行く。
後ろからものすごい剣幕でファーミンを睨みつけるドミナや、エピデムとドゥウムも一緒であった。
「何買うのー?」
「おい、離せ」
「前Aが本貸してくれたじゃーん?十角なんちゃらってやつ、あれめっちゃ面白くてさ〜それっぽいのまた読みてーなって」
「あーね」
「聞いてるのか?」
「勝手にものとらないなら離したげる」
「とらない」
「絶対嘘」
Aはファーミンを離れようとする制止しながらあの小説か、と思い出した。
その小説は前世Aが一番好きだった小説である。どうやら言語が違うのにこの世界の人にも読めるようで、牢でつまんなーいと嘆くデリザスタに貸したのだった。
「んー…なんか面白そうなのねぇなあ〜A選んでぇ?」
「えー…、つまんなくても知らないよ?」
デリザスタの言葉を聞き、Aは気が進まないものの本を選び始めた。
…正直面白そうなものは全く無かったが、とりあえず一番マシそうなものを手に取ってみる。
「これは?」
「んー?あーそれでいいわ、買っといて」
ずいぶんと適当な返事に少し呆れたが、まあしょうがないとAは本を手にカウンターへ向かった。
店員さんが凄い引いた目でこちらを見ている。まあ変な化粧した人とJKが手を繋いでたらそんな表情するわな。
Aは視線を気にしないようにしつつ、本を購入してからみんなで本屋を出ていった。
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作者名:そらいろ | 作成日時:2024年3月13日 19時