【MASHLE】無邪気な深淵の６番目長女３ (ページ41)

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兄達と長女ページ41

アドラ寮3年生時

「こらファーミン！店から勝手に物を持ってくるんじゃない！」

「しょうがないだろ、これが欲しかったんだ」

「知りません！返してきなさい！」

「あちらからプリンの匂いが！！プリン！プリン！」

「あ゛ーー！エピデム！！戻れ！戻ってこい！！」

「おーいA〜あっち酒場あるぜー！行ってもいい〜？」

「状況考えてお兄様！！」

「大変だねA」

「そう思うなら協力してお兄ちゃん！」

「エピデムは私が連れ戻してこよう」

「…ありがとうドゥウム」

休日のマーチェット通り。
普段からたくさんの人々が行き交い、賑やかなこの通りだが、今日に限っては更に賑やかさを増していた。
いや、騒がしいといったほうが良いかもしれない。

「いい？今日は私の管理の下特別に外に出れてるんだから、勝手な行動しないで」

人の邪魔にならないよう端っこに集まり、Aは自身の兄達に説教をしていた。
彼らは3年ほど前に魔法界を混沌に貶めた元無邪気な深淵幹部悪魔の五つ子であり、普段なら一人を除いて、ヘカテリス監獄に収容されているはずの極悪人である。

Aを真剣に聞くものはほぼいなかったし、Aも正直聞いてくれるものはいないだろうと考えていた。しかししつけというのはこういうことの繰り返しだったりするのだ。

Aは言うことの聞かない子供を持つ母親のような気持ちになりながら、目の前に立つ自身の兄を右から順番に見ていった。

ファーミンはさっきAが買ってやったトランプをいじっている。こちらを全く見ない、この野郎。

エピデムも全くこちらを見ない。プリンプリンと呟いて、匂いのした方を向いているようだ。このプリン信者め。

デリザスタはこちらを見てはいるが、確実にこの状況を面白がっている。普段はちゃんと兄してくれるんだけどなあ、年上が多いと下の子っぽくなるのだろうか。

ドゥウムは流石、ちゃんと話を聞いてくれている。とてもまとも。手がかからなくてありがたい。

ドミナはにこにこしながらこっちを見てる。まあお兄ちゃんは監獄入ってないからまだいいけど、状況収拾を手伝って欲しい。

個性の強すぎる兄を持ったことを改めて実感し、Aはため息をつくのだった。