ソフィナさんの誕生日２ ページ40
「そういえば思い出したのですが、Aさんのお兄さんも4月生まれなんですよね？」
「んーーはい、そうですよー」
一仕事終えて休憩中、ソフィナが伸びをするAに訊いた。去年の4月中旬に差し掛かる頃、妙にAの様子が落ち着いていないことに気づき、理由を聞いたらもうすぐ兄の誕生日なのだと教えてもらったのだ。
Aの兄は悪魔の五つ子、しかしこんなにも良い子が慕う兄ということは、イノセント・ゼロに使役されていただけで、根は良い人なのかもしれない。
「そのお兄さんはどのようなお人で？」
同じ誕生月であり、Aが慕う兄のことがなんとなく気になって、ソフィナは訊ねた。うーんと考え込むAの口が開くのを、のんびり待つ。
「そうですねぇ…パリピ…？」
「ぱ、パリピ…？」
ソフィナはAの発した一言に困惑した。パリピなのか、パリピか…いやそれよりも…
(確か私が対峙した彼…かなりおちゃらけていたような…)
ソフィナは1年と数ヶ月前のことを思い出した。無邪気な深淵の根城へ侵入したときに鉾を使う者と戦い、敗れてしまったのだ。確か新聞に、デリザスタと名前が書いてあったはず。
「…その方の容貌などは？」
「容貌？うーん…えーと髪型が…なんか…形容しがたい感じで…金髪で…あとギザ歯の人です！」
「………」
え？あの人なんですか？あの薄っぺらそうな男が、この子が慕う兄？
ソフィナは一瞬信じられないと言いたげな表情を浮かべたが、Aに失礼のないようすぐに表情を戻した。
しかしまさかあの人が、Aさんがよく話をしているお兄さんだなんて…
「…何もされていませんか？」
「え？はい、何もされてませんよ…？」
「そう、ですか…」
まあとりあえず、この子が無事なら良いかと、ソフィナは考えるのを辞めることにしたのだった。
「ぶぇっくしゅ！！あ゛ーなんだなんだぁ誰かオレっちのこと噂してるぅ〜？人気者はつれーなぁー」
(噂をされるイコール人気者だとは限らんだろ…)←看守
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作者名：そらいろ | 作成日時：2024年3月13日 19時
