ドットくんの誕生日６ ページ38
「ドットー！？あんたの友達が来てるよー！」
「！？」
ドットは椅子から転がり落ちるように立ち上がり、玄関まで走っていった。
途中母に怒鳴られたが、そんなこと気にしてられない。
「わっ…！」
「あっごめんAちゃん！」
ドットが勢いよく扉を開けたため、すぐ前で待っていたAを驚かせてしまった。よく見ると少し衣服が乱れており、急いで来たことが伺える。
「はい、プレゼント」
「おっあっありがと…」
プレゼントを受け取る瞬間、Aの柔らかそうな手に触れそうになって大きく体をビクつかせてしまった。
「あのね、前にお茶会にはマドレーヌがいいって言ってたでしょ？だからお高めのマドレーヌ買ったんだ〜」
「そっそそうなんだ…うへへ…」
正直プレゼントの中身より、自分のためにここまでやってきたAの存在や、前に話した内容をちゃんと覚えてくれていることの方が嬉しかった。
「じゃあもう遅いから、またね！」
「えっ！？あっ待ってAちゃん！」
Aと離れるのが嫌で、咄嗟に引き止めてしまいドットは焦った。
そんなこともつゆ知らず、Aはどうしたの？と理由を訊いたが、流石に正直に離れたくないと言うのはどうだろうかと思い、黙り込んでしまう。
不思議そうな目でAに見られ、心臓がギュッと締まるように痛い。
しかし、主人公はここでは挫けない。
「っ…あの！もうちょっと…！一緒にいてくれませんか…」
最後声が小さくなりつつも、何故か敬語になりつつも、ドットは自分の想いを伝えることはできた。
しかしこれからどうなるかはA次第。ドットは息を呑みつつ、Aの口が開くのを待った。
「…ん〜、誕生日だから特別だよ？」
「え゛っ！？いいの゛！？いよっしゃあああああ゛！！」
こくりと頷くAに、ドットは文字通り飛び上がるほど喜んだ。
家族にAを紹介し、デレデレのまま自分の部屋に連れて行き、一緒にお茶を楽しむ。
ドットにとってこれ以上ないほど、幸せな誕生日になった。
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作者名：そらいろ | 作成日時：2024年3月13日 19時
