ローズクォーツ兄弟と長女6 ページ32
「Aちゃんは人の魔力を量ではなく感じ方の違いで区別するらしいんだ
オレ達の魔力は似てるらしくて、それで間違えてオレのところに来てしまったんだってさ」
「ほぉ〜そうだったのかぁ」
めいっぱい泣き、お互い言いたいことをたくさん言った彼らは、今は穏やかに談笑をしている。
今まで疑問だったことを訊いてみると、ロヴィは笑いながら話してくれた。
「結構おっちょこちょいなんだ、彼女。
この前なんて、立ち上がろうとしたとき椅子に足を引っ掛けて転びそうになって…ほんとにびっくりしたよ」
「………へぇ〜」
笑顔のロヴィに対し、レヴィは少し呆れ顔をしていた。自分で椅子に足を引っ掛けて転びそうになるなんて、ただのバカだろう。
「職場でもよく失敗して、先輩に注意されるんだってさ
それが怖くていつも泣きそうになるらしい」
「注意されるだけでぇ?」
「うん、相当怖い人なのかも」
いや相当泣き虫なだけだろあいつが。
なんて子供っぽいんだ。レヴィはそう思いつつ、多分それを可愛いと思っている自身の兄に少し引いた。
兄貴は昔から心根の優しい人を好む。正直双子の勘というのもあるが、手紙の内容からしても、おそらく兄貴はあいつのことが好きなのだろう。
なんとなく、あいつのことを話しているときの表情も違う気がする。まるで愛する人を思っているかのような、そんな表情。
正直レヴィはAの何が良いのか全く分からなかった。バカは嫌いだ。かと言って頭が良すぎるのも駄目だ。ほどほどに頭の良い奴ぐらいがちょうどいい。
「レヴィのこと気にしてたから、仲良くしてやれよ?
もちろん嫌なら構わないけど…」
「…わーったよ」
レヴィがそう言うと、ロヴィは嬉しそうに笑った。でもこれは兄の為ではない。神覚者と仲良くしていれば、いつか使える日がくると思っただけだ。
それに、兄貴があいつを好きなら、できることなら協力してやりたい。
レヴィはこのとき、自分もAのことを好きになってしまうとは微塵も思わず、兄と談笑を続けるのだった。
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作者名:そらいろ | 作成日時:2024年3月13日 19時